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 軍に所属して、一年と少し経った頃。友人という者は出来てないけれど、気にかけてくれる仲間は出来た。部隊によっては、前線に行くところもあるらしいが、僕らの部隊は後方支援が主だった。


 だからだろうか、少しフレンドリーというか、少し緩い人物が多かった。


「シアン、飯行くぞー。」


 訓練も終わり、特に何も予定のない休日に、部屋でのんびりしていると、ノックも早々に僕の返事を待たず、部屋のドアを開けると同時にそう声を掛けられた。声でも分かったし、僕の部屋へこんな風に気軽に来てくれる人は限られている。隊長のクダンさんと、いつも楽しそうに笑っているセンさんだ。


 センさんは僕より五コ年上で、無表情の僕をどうにか笑わせようと、こうして声を掛けてくれるようになった。


「…お腹、空いてないです。」


「なら、お前はチビのままだなぁ?」


「……少しなら。」


 身長のことを言われると、どうしようもない。僕は平均よりは小さいらしい。隊長にも、センさんにも「もうちょっと大きかったらなぁ。」としみじみと言われてしまうので、少し気にしてはいた。


「よし、行くぞー。」


 センさんの声に、「…はい。」とだけ返事をして、先に出ていったセンさんの後をついていく。こういうのが続けばいいのになぁ、とこっそり思っては、小さく息を吐いた。


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