第18話物語を閉じる前に⑨

『まあ、そんなときも』


そういう日もあるさ。

そんなときもあるさ。

でも、きっとまた戻りたいって思うときが来るのさ。

そういうときは、だらだらと外を歩いて空とか景色を見るのさ。

自分の中を空っぽにして、嫌なこともいいことも全部全部空っぽにして。

そうしてはじめに注ぐのは、

きっといつもの好きなことなのさ。






『寒いから』


今夜は寒いからシチューを食べる

今夜は寒いから湯船に柚子が泳いでる

今夜は寒いから靴下を履いて寝る

寒い寒い冬のある夜


今夜は寒いからココアを飲む

今夜は寒いからあなたと電話をする

温かいココアを飲みながら

隣に居ないあなたと電話する


本当は手を握って

冷えた心を暖めたいの





『ファンタジー』


在るはずのないセカイヘようこそ、お客様


すてたはずの可能性

あきらめたはずの奇跡

目が覚めるような驚き

そんなもの、どこかに置き忘れてはおりませんか?


忘れてしまったあなたのカケラ

何処かでもう一度、芽吹かせてはみませんか?


ようこそ、お客様

ここは夢を叶える大きな庭


どんなどんでん返しも可能にする

どんな奇跡も輝きを取り戻す


お試しください、お客様

リアルのあなたがどこまで通用するか

リアルの常識がどこまで通用するか


これはワタクシからの挑戦状

夢を見ないあなたには

踏み入れることのできない庭があるのだと

その目で確かめてはいかがでしょうか


ようこそ、お客様

ワタクシはあなたをもてなしましょう

最後の最後まで

飽きさせることは決してないと

この物語に誓ってみせましょう


だって

それがファンタジーというものでしょう?

ねえ、お客様?






『birthday』


毎日誰かの誕生日

毎日誰かが旅立って

毎日誰かが目を覚ます


あなたと会えてうれしいな

ねえ、笑って

怒って

泣いてもいいよ

それはあなたが生きてる証拠


あなたと会えてキラめいた

ほら、歌って

描いて

もっと書こう

あなたは素敵なアーティスト


今日は特別

あなたの日

相応しい言葉を贈りたい






『満開』


近くの畑のブロッコリー

今日はお花が満開で

売れなくなったガクッコリー


近くの畑の菜花たち

今日もお花が満開で

美味しい春を届けてる


近くのおうちの桃と梅

最近お花が満開で

フラワーシャワーがどしゃ降り中


隣のおうちのこどもたち

最近春の休みに入ったようで

笑顔満開元気千倍


なんにもなかったはずのあの場所に

いつのまにか芽生えてた

ぷっくりふくらみ

待っていた


長くて寒い冬の季節

風が強くて凍えそう

そんな時間を待ってきた


ポンポンふぅわりパンパカパーン☆

そんな音が聞こえそうな

何かが開く

そんな季節

何かがハジまる

そんな季節


次は誰が花開く?

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