第13話物語を閉じる前に④

『缶ドロップス』


缶の中に広がる宇宙は無限大

光るカラフルドロップス

星の数は人知れず

カラカラ鳴って

宇宙の外を夢見てる


カラカラ振って

星をてのひらに落とそうよ


カラン♪

一粒星落ちた

願い事は言えたかな?

流れ星に願いを込めて

口に入れれば星の味


キラキラ光るドロップス

今日はなに味出るのかな?

落ちる時までわからない


カラン♪と

カラン♪と

鳴っている


小さな手で握った

中身が詰まった新しい缶は

大きくなっても

まだ握られている


少し軽くなってしまってはいるけれど

缶の中ではまだまだたくさんの

カラフルドロップスが浮かんでいる





『箱キャラメル』


箱に詰まった四角い集団

ひとつ、ひとつと

隙間が増える


きれいに包装されたキャラメルたち

「くださいな」

手を出せば乗せられる

ちょこんと乗った

一包みのキャラメル


きみのための

あまぁいおやつ

包みを解いて

いただこう

焦げた茶色も気にならない

苦味を忘れて笑顔になる


箱の中にはなにかが詰まっている

夢とか思い出とか

砂糖とかミルクとか

笑顔とか元気とか


いつのまにか空になった小さな箱

今度はきみが詰めていこう


誰かに何かを渡せるように


大切な何かをそっと包んで

今度はきみが渡してあげて

誰かに何かを渡してあげて





『おいしいもの』


口に入れたとき

ほっぺがふわふわする

思わず唸る

味覚センサーがお花畑になる

とりあえず一言

「うまい。」


飲み込んだとき

ため息が出る

満たされる

次が欲しいと欲が出る

とりあえず一言

「うまかった。」


思い出すとき

あの匂いと

色と形と

美味しい味と

感動がよみがえる


あの時間と

笑顔と気持ちと

雰囲気と

思い出がよみがえる


あなたの「おいしい」はどこにいますか?





『吹き飛ばせ!』


イヤなものぜーんぶ、ぜんぶ

吹き飛ばせ

自分の体から出してしまえ

あっちの方まで飛んでっちゃえ

ついでにイヤなことも飛んでっちゃえ


強風暴風ハリケーンが

今だけ味方をしてくれる

キレイさっぱり吹き飛ばせ

そしたら明日は晴れるのだ


世界も自分も青空平和で

ハッピーエンド




なんて考え押し付け思考

吹き飛ばしてくれた風も困ってる


吹き飛ばして追いやったイヤなモノ

どこへいくのかわかんない

結局ぐるりと回って巡って

戻ってくる

自分のとこに、

戻ってくる


世界はそんなふうにできている


今ここでなんとかしないと

後回しにしただけだ

全部じゃなくても解決しないと

明日も晴れずに曇りのまま


吹き飛ばせずに残ったものが雲になり

いつかは再び戻ってくる

大雨雷を呼んで戻ってくる

その時もう一度吹き飛ばせるの?

二度と青空戻ってこない


吹き飛ばせ

いつかきっとの甘い考え、吹き飛ばせ


明日は晴れる

そうじゃない

明日は晴らす

ずっと晴らす

誰にも押し付けずに

みんなで晴らす


問題根こそぎ吹っ飛ばし

青空の下に戻る方法

ただひとつ


明日の空に先送りしないで

今のうちに

なんとかする

なんにもできなくても

なにかする




今吹く風より速い風はない

世界は青空を願っている

誰もが晴天を願っている






吹き飛ばそう

世界をおおうイヤな雲

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