チョコレートムーン

@chocoholic

第1話

また、朝が来た。6時のアラームが鳴って、何度かスヌーズを止めてやっと起きる。7時には家を出ないといけないので、急いで支度をする。化粧は毎日同じで、髪型もたいていはストレートか外ハネスタイル。お洒落な人の、モーニングルーティンに憧れるけどそんな時間は到底ない。手短に準備を済ませ、最寄りの駅へと急ぐ。最寄り駅に着くと、いつも見かけるサラリーマンたちや学生が列に並んでいる。なんの代わり映えもない日常。琴乃は、そんな日常を見てはぁっとため息をつく。「私、いつまでずっと一緒の毎日を過ごしてるんだろう。」そう、周りには聞こえないくらいの声で呟く。

会社に着くと、同僚の絵美子が声をかけてきた。

「おはよ!ねぇ、聞いた?!営業の愛花ちゃん、結城さんとつきあってるんだってー!」

「えっ、そうなの。」

平然を装ったのがバレていないだろうか。私は以前、他部者の先輩結城さんと付き合っていた。でも、同僚たちにはそのことを告げておらず一年ほどでお別れをしたのだった。

「結城さんイケメンだしモテるもんねー。私もあんな彼氏が欲しいわ。」

「そうだね。結城さん素敵な人だもんね。」

そう言って、お互いデスクへと別れた。

結城さんとの出会いは、3年前。若手を集めた飲み会で、私が入社2年目。彼は、5年目だった。営業部のホープとも言われている結城さんが飲み会に来ると知った時は、正直テンションが上がった。少しでも、話せたら嬉しいなという気持ちが少なからずあった。しかし、飲み会の間は話すチャンスは無くその飲み会は終わってしまった。

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