第7話伊達巻の犬
ケチ臭い私を鳴き声で嘲笑う老犬、クッションで丸くなるのを見イラッときて、目的地を変更し、
だが安心しろ犬よ私は慈悲の
この犬はお座敷犬らしく贅沢なため、人間様の部屋で暮らすのが当然だと勘違いしているようで、扉を閉めてゲージに放り込むと狂ったように鳴く。30分ほどすればゲージが浮くほどガンガン暴れ散らす。仕方なく出してやっても私以外家にいないとわかれば鳴く、ずっと鳴いている。近所迷惑もいいとこだ。
で結論。こいつはゲージが嫌い、だから
八幡市で1つ言い忘れたことがある、松花堂庭園美術館のこと。
ここは都合3、4回行ったかな?岩清水八幡宮と関係のある
美術館も有料だが、付属の日本料理レストラン京都
でも京都府警に逮捕されそうなので断行はしなかったし、美術を愛する館長に地獄の底まで追いかけられる、そうなったら怖いのでやはり塗り潰しは断念した。
微かなエンジン音がする車内。生意気なオムツ犬も、おせち料理の伊達巻みたいなポーズでスヤスヤ
助手席に乱雑に積まれた私物の上には、
さすがにいい歳の私が、もしゃもしゃ食べるにはビジュアル的にもキツい。今思えば必要かもしれないと、不必要なものを旅に持参するあるあるネタではないだろうか?他にも折り畳み式の将棋盤。助手席の足元に縦に置いているため、ブレーキを踏むたびにダッシュボードにコツコツ当たりうるさい。滋賀県の親戚と指すかもしれないと用意したが、これも使用せずに持って帰るハメに。
丁寧に指せば3、4段にも勝つ親戚は高齢だが、
安物主体の縁台将棋と比べたら、高級な駒と盤を隣に置き、私の運転する車両は、広大な田んぼでそれなりに
この街は宇治市に良いところを全部吸い尽くされ、伏見区の最近復元されて、歴史的価値の希薄な伏見桃山城に見下ろされ、石清水八幡宮の神様に見放され、目立たないことでライバル関係にある
それでもなんとか、相当頑張って街の記憶を捻り出し、久御山町のピーアールに役立つネタを提供しよう。
今回は車移動だが以前は第二京阪道路下を、原付バイクで大阪京都間を行ったり来たり。そのため一般道から見上げる高速道路の構造は、目に焼き付いている。ここで注目すべきは、久御山ジャンクションの立体交差部。コンクリートと鋼材が見事に
久御山の数少ない名物スポットの1つとしてランクイン。田んぼ見物を
一定のスピードで進行する、車の両サイドに流れる久御山ビュー。稲刈りが終わってしばらく経過した田んぼには、青い雑草が生い茂り、その上を綿雲の影がゆっくり移動していた。老いた犬と私は、そんなヒーリング映像に癒されながら伏見区に突入。
以前からこの辺を通るとき、城らしき物体が見えて気にはなっていたが、検索して調べてみると、あれが復元された伏見桃山城であるらしい。高速道路上から見える、豆粒ほどの天守閣はいかにも安っぽい。誰かが趣味で建てたプラモデルではないかと、初代主人と話したもんだ。
ただ行ったことのない城より、見物したことのある醍醐寺での大切なヒストリーを語ろう。
醍醐寺の歴史的背景については、多言語百科事典ウッキキ〜ペディア(仮称)でそれぞれが調べるとして、もっと重要な売店での出来事を述べたい。
醍醐寺観光をサクッと済ませた私は、急速なデジタル化の波にのまれ、今では絶滅危惧種になりつつある、写真付きポストカードを吟味しながら、買うか買わないか売店の熟女店員と交渉。赤い
今でもそのポストカードは未使用で、どこぞの引き出しにでも入っているはず。引き出しの場所は忘れたが。
以上が重要な醍醐寺での出来事だ。
重要な出来事と言えば『中華料理お
ロードマップが希薄な頃は、色々な道を探り探り開拓した。その1つに京都府道7号線がある。第二京阪道路がまだ大阪直通でなかった時代、初代と2代目御主人様を乗せた車が、国道1号線経由で府道7号線を通行中、ちょうど小腹が空いたと初代が言い出し、中華料理で本家の中国大陸を制覇するつもりの『餃子の〇〇』に立ち寄った。
餃子にチャーハン、酢豚と天津飯は安価で絶品。ラーメンもそこそこ美味い。そんな中華料理屋に来店するつもりでいた私を残して、初代と2代目は店舗内に消えてゆく。金がない私は、オーディオからたまたま流れ出る、竹内まりあの『駅』を聴きながら、空腹を凌いだもんである。
数十分後、満腹になった両名が車中に乗車すると、ニンニクのどぎつい匂いが充満。酸欠状態を回避するためパワーウインドウを下げ、真冬の冷気で車内の空気を循環させた。高カロリーの食事で、すっかり脂ぎった初代と2代目は、悪寒を訴えたが、私は運転に集中するため申し出を無言で却下した。
言っておくがこれは決して復讐ではない、送迎を託されたプロドライバーによる、ベストアンサーだと自負している。
それぐらいだな、伏見区でのエピソードは。
犬もフゴフゴ寝息を立てているので、私は尻を指でつついてやりたい衝動を抑え、車は次の街へと移動する。
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