目の前に情景が浮かぶ鮮烈な物語でした。丁寧な描写はもちろんなのですが、淡々と語られる中にある物悲しさ…。怪異と交わる世界の美しさがはっきりと見て取れました。
父と子の悲しい関わり合いにどうして?と胸が痛くなりました。
ひふみさん(と呼ぶので合ってますか?)。すいません。読みもしないで「恐い」なんてちゃかしてしまいました。この作品はそんな薄いものじゃないです。
ちゃんと読みました。細やかな描写、けれどそれは重く厚く塗っていくようなものではなくて、作中の時間の過ぎ方を妨げない、すなおなものでした。ですから僕は苦痛も冷静も感じずに、少なくない文章なのにすらすらと自然に読み進めることができました。そして読むにつれて、登場人物の人となりが息づくように立ち上がってきました。丁寧になぞられて作られた人物の輪郭はとても明瞭で、お父さんの日常に倦んだ粗暴さとか、恋人の邪気のない態度は、人間味に溢れて見えました。そして少年。訳も分からず周囲から突き放されている少年は、ただ当惑していて、人外の存在より差し出された手をぎゅっと握っています。人と交われずに度を越えてしまった悲しみは、その大きさに全容が見えず、存在を自覚できないのかもしれません。恐怖の対象であるべき亡き母の存在は、恐怖には見えず、むしろ少年の悲しみの象徴に見えました。それは少年を支えています。恐怖に支えられる自我。不思議な読後感。余韻がとてもよかったです。
夜光雲のような、さびしくて、うっすらとぞくっとして、どこか和ませる、すてきなお話でした! 拍手です! あー楽しかった!
(でもやっぱし恐かったです。現実に踏み込んでくる「あの世」。『日誌』と同じ。彼らの侵入を防いでいる何かを「ほら、外した」と勝手に外されちゃった気がします。やめて~!)
作者からの返信
お久しぶりでございます。wazzwallasisさんが戻ってきてくれて本当に良かった。思い返せば、自分の初投稿作品にコメントをしてくれたのがあなたです。1.419e+14読みました。宇宙規模の遠距離恋愛とはおそれいりました。作品に漂う透明感、さわやかな読後感は健在ですね。heとsheの50年にも及ぶ物語。はるか未来、スターシップ、別の惑星。壮大な舞台で繰り広げられる繊細な純愛ストーリーにキュンとします。
これからも、ご自身のペースで書き続けてください。ご自愛ください。
名前の読み方は「ひふみ」です。三上一二三、て見た目が記号みたいで面白いな、と。
カクヨムに登録し「おばけの手帳」に出会って衝撃を受け、レビューを初めて書いたのもこの作品でした。それからもこの幻想的な世界に浸りたくて、時々読みにきています。情景描写や心理描写が繊細で、何度読んでも引き込まれて……涙が出ます。
実はこの物語の男の子と同じように、子供の頃、父から仕事で余った手帳をもらってそれに絵を描いていた時期がありました。(もちろんこのお話とは違い下手な絵でしたが…笑)親子の関係や状況は違いますが、親に愛してもらいたい、自分を理解してもらいたいという男の子の気持ちが、あの頃の自分自身と重なり、切なくて泣きながら読んでいます。男の子の人生がこの後幸せであってくれたらいいな……といつも想像しています。
三上さま、素敵な物語をありがとうございます。また来ます!
作者からの返信
返信が遅れて申し訳ありません。
熱いメッセージ、応援ありがとうございます。
私の方が涙が出ます。
男の子の人生はすでに作者の手を離れましたが、幸福になると信じています。あの子はああ見えて本当は強い子です。不思議な世界でも、現実の世界でも、うまくやっていけるでしょう。
私も「迷子の国」のような、日常と隣り合わせの不思議、恐怖、などを描きたいなぁと考えています。考えてはいますが、何一つ話は進みませんけど。
坂本さんの次回作を期待しております。お互い、楽しく頑張りましょう!