第11話 マツダ

 六時半に起きた。

シャワーを浴びて、シャツとスラックスを身に着け、朝食の準備をしてから寝室に入ろうとドアを開けたときだった。目の前に半裸の本田が立っていて、危うくぶつかるところだった。

「今日はどうした? やけにシャキッとしてるな」

 そういって短髪を掻きながら、彼が欠伸をした。鼻の下が伸びているはずなのに相変わらずの格好良さで、ずるいと思った。

「今日は大事な視察と会議があるんだろ」

「ああ、そうだ」

 本田が笑い、俺の頬を軽く叩いた。

「秘書っぽい顔つきになったな」

「まだ二日目じゃん」

「だな」

 俺たちは目を合わせて笑った。

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