第137話
「ロニー、夜は空けておけよ」
「分かってるさ、お前らこそ忘れるなよ」
「この野郎。祝ってもらう側が言うセリフか?」
「そのぐらい良いだろ、とうとうレイヴンとして認められたんだぞ?」
「あぁ、前々から素質はあるかも知れないと思っていたが、遂にあのレイヴン認定試験を通ってしまうとはな………」
「レイヴン認定試験よりも、訓練の方が思い出したくねぇよ。知ってるか?吐く物が無くなった上で吐くと、胃から」
「おいおい止めろよ、誰も聞きたくないっての」
「分かった、分かったよ。それよりも本当にステーキは出るんだろうな?」
「約束は守るさ。安心しろよ、あれだけの啖呵を切って本当にレイヴンになったんだからな。分厚いステーキだろうとチーズケーキだろうと焼いてやるよ」
「チーズケーキ?待て、チーズケーキまで出るのか?」
「いや違う、出ない、出ないぞ」
「おい本当かよ、チーズケーキまで出るのか!?お前達、本当にそこまでやってくれるのか!?」
「あぁーークソ!やっちまった、サプライズだったのに!」
「なぁ、黙ってるから教えてくれよ、チーズケーキってのは只のチーズケーキじゃなくてやっぱり……」
「…………あぁ、お前の言ってた“スーパーチーズケーキ”だ。サワークリームとビスケットを使った、アレだよ」
「やった、お前ら本当に用意したんだな!!あぁ信じらんねぇ、バカ高かったんだろ?」
「おい知らなかったフリしてくれよ、皆で金を出しあって用意して、サプライズも練習したんだ。ここでバラしちまった、なんてバレたら袋叩きにあっちまうよ」
「分かってるよ、驚いてやるから。“おいウソだろ”って言ってやるよ」
「約束だぞ?頼むぜ」
「安心しろって、ちゃんと上手くやるからよ。…………おい、どうしたんだ?」
「あぁ、またいつもの騒ぎだよ。ほら、あの“怪物”さ」
「…………」
「おいやめろ、やめろよ」
「何がだよ?」
「バカにするんじゃねぇ、お前の考えてる事ぐらい分かるさ。お前、あの“怪物”をつついたりするなよ。犬に手を噛まれるのとは訳が違う、最悪お前のレイヴン認定まで取り消されるぞ」
「なぁ、本当に野生のカラスが肩に留まってるのか?野生のカラスが……」
「止めておけって。お前が気味の悪い伝承や伝説が好きなのも、あの“不吉な怪物”の話に夢中なのも知ってる。だがあいつの“黒魔術”ってのは、お伽噺とは訳が違うんだぞ。“本当にタネが無い魔法”なんて関わらない方が良いって、あれだけ言ったろ」
「分かってる、分かってるよ」
「おい目を見て言え、お前のそういう眼は一番まずい、今回ばかりは冗談じゃ済まないんだ。なぁ、おい」
「分かってるよ、分かってるって」
「あいつは帝国軍でさえ手を焼く程の、本物の“怪物”なんだぞ。それこそ、わざわざ幹部達がレガリスから引き抜く程のな。今日は絡まないだろうが…………良いか、今後も絶対近付くなよ」
「分かってる、近付いたりしねぇって。本当に、分かってるから」
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