第135話
1838年
レガリス中央新聞
落雪の月26日
“レガリス奴隷貿易組合、帝国軍と共に緊急総会へ”
敬虔な亜人、ダニール・ヤンコフスキーの急逝から二週間が経つも、未だ亜人達の動揺や困惑は収まらずレガリス内では波紋が広がり続けている。
脱走奴隷や思い上がった罪人が構成員の大半を占めるギャンググループ、“スナークス”。
抵抗軍と同じく、レガリスに暗い影を落とし続けているこのギャンググループも近年の情勢に触発され、奴隷の脱走幇助や奴隷売買の妨害に代表される、各種犯罪行為等の活動が活発になっていると帝国本部が公式に発表した。
これに伴い、レガリス奴隷貿易組合は帝国軍とも連携する形での緊急総会を開催し、今後の方針を決定するとの事。
今年の夏頃、大修道院にてドゥプラ上級尉官が暗殺された事を皮切りに、レガリスの亜人奴隷貿易の各種利益及びそれに伴う奴隷貿易促進政策は、近年希に見る大打撃を受けている。
そんな現状から今回の緊急集会では事態の収束や、ギャングひいては抵抗軍への本格的な対策を協議するそうだ。
まだ正式な決定では無いものの、今回の件で帝国軍は抵抗軍“黒羽の団”の評価を“排除性優先敵対勢力”から、更に優先性の高い項目へと再評価するとの情報が巷には広まっている。また、関係者からも表立った否定はまだ出ておらず、信憑性の高い情報では無いかと各種報道陣はコメントしていた。
以前、奴隷に対する逃亡防止や管理の効率化を目的とした、薬品による奴隷への焼き印を義務付ける法案が来年から施行予定だったが、近年の情勢を鑑みて施行を見合わせる事となった。
廃案とするか、再審議とするかは未だ不明。
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