第37話

 「おや、どうしました?」





 「ウォリナー、“個人資産”とやらの引き出しを行いたいんだが頼めるか?」


 「えぇ、手配しましょう。貴方に用意された資産ですからね、貴方の要望には概ね無条件で応じる様に言われています。それで?幾ら必要なんです?」


 「あーちょっと待て…………これに書いてある額を頼む」


 「はい、直ぐにでも……こんなに?相当な額ですが、何に使うのです?」


 「…………あー、まぁ……」


 「……一応、要目が信用されなければ審査が入る事もありますよ。念の為、ですが」


 「…………分かったよ、開発に必要なんだ」


 「開発?」


 「そう、開発費用として必要なんだ」


 「…待ってください、まさかとは思いますがブロウズ、開発費用にこれ程の額が必要という事は……」


 「あぁ、そういう事だ。……ゼレーニナの開発だ」


 「ブロウズ、悪い事は言いません。クルーガーに頼むべきです。あの小娘にだけは金を与えてはいけません。絶対に、クルーガーに頼むべきです」


 「だが、あいつにしか開発出来ない武器が必要なんだ」


 「あの小娘の開発は金がかかるものだらけです、それに付き合っていては破産しかねませんよ」


 「逆に言えば、金があればあいつの武器は信頼出来る。俺一人分だけで良いんだ、何も全レイヴンの武器を作らせる訳じゃない。ウォリナー、分かってくれ」


 「…………分かりました、貴方がそこまで言うのなら。ですが、多少は調査も入りますのでその辺りは割り切ってください。支払いはいつです?」





 「出来るなら、明日にでも頼む」

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