第10話

 随分と酷い目にあった。









 結局あれから心底飽きが来る程屋上ツアーをやらされ、やっと目的地に付いたかと思えば、もう一晩その区画の崩落地区の地下で過ごす事になり、かと思えば夜半に静かにレガリスから島に向けて出発するハメになるとは。


 特殊不燃ガス“ジェリーガス”の充填された気嚢を備えた小型航空機の中で、頭を掻いた。


 空中都市連邦バラクシアの首都、レガリスは決して小さな都市では無い。


 元々は最先端の工業都市として建造されたレガリスは、既に当時の基準では最大規模の空中都市区画だった。当初は工業技術の発展や普及、及び生産施設の拠点としての役割を担う予定だったが、利便性の為に次第に大小様々な区画や浮遊大陸と連結・統合する様になり、今では首都の名に相応しい巨大都市となっている。


 それだけの都市が一時期は総力を上げて探し回り、レガリス内は勿論の事バラクシア内の他の都市国家まで嗅ぎ回ったと言うのに、まさかレガリス内にある、廃鉱山一つを見付けられなかったとは今でも信じがたい話だ。少なくとも、俺が帝国軍に居た頃なら笑い飛ばしただろう。


 ようやくレイヴンがマスクを上に上げた。


 その顔を見て、思わず目を見開く。レイヴンマスクの下には、褐色のラグラス人ではなく、白いキセリア人の若い男の顔があったからだ。


 「どうした、そんなに意外か?」


 想像以上に驚きが表情に出ていたらしい、レイヴンが楽しげに小さく笑う。


 「まさか、黒羽の団にキセリア人がいるなんて思わなくてな」


 「そのキセリア人が入団しようというのによく言う、黒羽の団がラグラス人だけだとでも思ったか?」


 全く以てその通りだった。


 加えて言うなら自分が今まで殺したレイヴンは皆ラグラス人だったのだから、勝手にレイヴンは皆ラグラス人なのだと思い込んでいたが………


 「自分以外にも、ラグラス人の為に戦うキセリア人がいるとはな」


 「少し違うな、俺達は何も全員がラグラス人の為に戦っているんじゃない。俺達は現政権を倒す為に戦っているんだ、問題は奴隷制度だけじゃない」


 レイヴンマスクを脇に置いたキセリア人が、静かに言う。


 成る程、話が見えてきた。


 要するに黒羽の団という組織は決してラグラス人の人権の為だけに戦っているのではなく、現政権の圧政や腐敗を撤廃させる為にも戦っている訳だ。


 ラグラス人は同胞の人権及び解放、キセリア人は現政権の浄化及び撤廃を目的として、反体制勢力として黒羽の団が生まれた訳か。


 「つまりお前らは、結果的に現政権を倒す為に利害の一致から協力している訳か」


 「そんな所だ。言ってしまえば私だって、そこまでラグラス人の奴隷制度が憎い訳では無い。しかし、現政権を倒すという意味では目的は同じだからな。だから協力している」


 「そこまで言っていいのか?黒羽の団ってのは、想像していたより随分とビジネスライクだな」


 「現政権を倒したいのは皆同じさ、ただ、理由が違うだけだ」


 悪びれもせず、レイヴンが答える。


 帝国軍にいた時は、黒羽の団にキセリア人が所属しているなんて想像もしなかったが、確かに利害の一致、という点から考えれば随分とビジネスライクだが合点は行く。


 現政権を憎む連中はキセリア人としても決して少なくない、街中にでも聞き込めばそれこそわんさか居るだろう。


 そして、ラグラス人がレガリスの現政権をどう思っているか等聞くまでもない。考えてみれば、キセリア人が反体制勢力に所属しているのも至極当然の様な気もしてきた。我ながら単純な話ではあるが。


 「お前みたいな理由で入団する奴は、そうそう居ないと思うがな」


 「ほっとけ」


 俺が向かうであろう、廃鉱山があるらしき方角の濃霧を窓越しに眺めながらぼやく。


 「お前らの言う廃鉱山とやらがある島はどういう所なんだ?まさか小さな孤島とかじゃないだろうな」


 不意にそんな言葉が口を突いて出る。只の孤島を本拠地とか呼んでいる様なら、多少こちらも考える物があるぞ。


 「心配するな、帝国軍やレガリスの連中が話にも出さないだけで、結構な大陸だ。奴等、金にならない島は地図にも書かないがな」


 「吊り下げ列車……クラウドラインも通ってないのか?飛行便は?」


 「元々、観光向きの島でも無いからな。何も、土産や特産品がある訳でも無い。霧が濃いおかげで空の見晴らしも良くない。また、森林がやたらと深くてな、本当に鉱山以外は何も無い島だったんだよ」


 「……成る程、その頼みの鉱山が枯れて廃鉱になってしまえば、いよいよもって島に立ち寄る意味が何一つ無い訳だ」


 「その上、大陸としては高度が低い。都市の連中からしたら、わざわざ枯れた廃鉱と森を見に来る為にレガリスや他の大陸より下層に向かって、霧の中飛行便を出すなんて有り得ないからな。それに、どれだけ大袈裟と分かっていても下層の瘴気に近付くだけで不機嫌になる輩も居る。そんな訳でめでたく飛行便は無くなった。クラウドラインも廃線し、撤去。遂にはレガリスから発行される空域図にも島が描かれなくなり、誰も知らない島の完成と言う訳だ。あれだけの島なのにな」


 どうやら、少なくとも走って端から端まで行ける様な孤島では無いらしい。目も当てられない、なんて事にはならないようだ。長年帝国軍と戦っているのだから、当然と言われればそれまでだが。


 「この飛行艇の操縦手もレイヴンなのか?」


 何となくしたそんな質問に、レイヴンが滑稽そうに笑う。正直、少し勘に触った。


 「そんなに変な事を聞いたか?」


 「お前はオオバネワシにハトの代わりをさせるのか?」


 心底可笑しそうに笑いながらレイヴンが言葉を返す。言いたい事があるならはっきり言えば良いものを。


 「そろそろ真面目な答えをくれるとありがたいんだがな」


 「すまない、思わず笑ってしまった。内部を知らなければ仕方無い事ではあるよな」


 まだ口の端には笑みがこびりついている。何がそんなに面白いのか知らないが、現に知らなかったのだからそこまで笑う事無いだろう。


 「帝国からしたら黒羽の団はレイヴンばかりに思えるかも知れないがな、レイヴンになれるのは素質のある者だけだ。団内にも非戦闘員は多くいる。作業員は勿論、料理人や医者、科学者だっている。それも帝国軍なんかより遥かに優秀な奴等がな」


 「科学者までいるのか?随分と大所帯なんだな」


 反体制勢力に、お抱えの科学者までいるとは驚きだ。確かにレイヴン達が見慣れない兵器や武器を使っているのは知っていたが、そういった訳があったのか。


 「こっちの科学者は凄いぞ、中には帝国の科学者なんか束になっても敵わない天才もいる。クルーガーと言う男だ、お前も一度は会った方が良い。教養のある、立派な人格者でもあるからな」













 「温かい歓迎だな」


 本拠地の廃鉱山に着いて、出た言葉がそれだった。


 廃鉱山自体は、濃霧に遮られているとはいえレガリスのすぐ傍にあり、帝国軍が想定していた空域より遥かにレガリスに近かった。確かに空域はレガリスより下層だし、全く問題ないとは言え、レガリスや他の大陸より下層の瘴気に近くなるのは、決して気分の良い事では無いだろう。だが、そんな気紛れの様な理由でこの島は、これだけ傍にありながら今まで十数年以上も帝国軍から隠れていたのだから、笑うしかない。


 灯台もと暗しと言ってしまえば、それまでなのだが。


 鉱山内部の従来の坑道と連結でもしているのだろうか、鉱山に寄り添う様に建物が数え切れない程建てられている。かと思えば、建物や鉱山を遠目に取り巻く様にして、濃密な森林が広がっている。率直に言って、不思議な光景だ。


 遥か向こうの建物群には、どう見ても内陸部の筈なのに、何やら細長い灯台の様な塔まで見える。崖でも港でも無い場所に、灯台?


 この島に着いた頃から、道行く連中の視線が、痛い程自分に向けられているのを感じていた。視線の焼き付く様な強さは、レガリスの崩落地区のレイヴン達から向けられた視線とは比べ物にならない。


 建物の窓から顔を出す者、自分に視線を向けたまま通り過ぎていく連中。訓練の最中だろうに、打ち合う手を止めて露骨に此方を見つめる者等、うんざりするほど視線が向けられていた。


 どうやら、俺がどういう経緯でこの島に来たか、そしてどんな人間かは周りに広まっている様だ。


 その証拠に周りから向けられている視線も、興味というよりは軽蔑の様な視線が大半の様に感じられる。


 俺を見ながら二人のラグラス人が、何か小声で話し合っているのが視界の隅に見える。話し掛けられている方のラグラス人が俺を睨み付けている様子から見るに、楽しい話じゃなさそうだ。


 「ケーキとワインが出てくるとでも思ったか?」


 本拠地だからだろう、マスクを外したまま先導していたレイヴンが皮肉気に聞く。


 「いや、石が飛んでくるのはまだかと思ってな。避けた石が当たっても恨むなよ」


 皮肉を返すと「石は最近値上がりしたらしいからな」とレイヴンが楽しげに返してきた。


 予想はしていたが、やはり喜ばれてはいないらしい。当然と言えば当然だが。黒羽の団のど真ん中に、帝国軍の英雄が凱旋だ。矢が飛んで来ても文句は言えない状況だ。


 「あいつらは皆、俺の経歴を知っているのか?」


 「一応お前が来る事も、お前の経歴も公開はしていない筈なんだがな。どうやっても人の噂は止められないらしい」


 口調とは裏腹に、レイヴンが全く気にしていない様子で言う。矢が飛んで来ても、どうせ狙われるのは自分じゃなくてこいつだ。そんな雰囲気だった。


 まぁ、人の噂話を食い止めるなんてどうやっても無理な話だ。割り切るしか無いだろう。


 串刺しにする様な視線を受け続けながら建物群の中を暫く歩いた後、本部と思われる豪華な造りの建物の前で、不意にレイヴンが足を止めて振り返る。


 「よし、忠告だ。これからお前は俺達の上司も上司、最高幹部達に会う事になる。こんな事は言いたくないが、もし怪しい素振りがあったりしたら、俺達レイヴンは一切容赦無くお前の首を掻き切る。警告も無しだ。分かったな?」


 流石に、今回ばかりは眼が凍り付いた様に冷たく、全く笑っていない。おそらくこの言葉に嘘は無いだろう。


 今更驚く事でも無い、帝国と戦おうというぐらいだ。今更、念を押されるまでもない。


 「勿論構わない、俺もそれぐらい分かって来ているからな」


 「これは冗談じゃない、忘れるな」


 再び、レイヴンが歩き出した。









 「ここから先はお前にしか許可されていない、行け」


 建物内部の豪華な装飾の施された両開きの扉を前にして、レイヴンがそう呟く。


 「俺だけでか?」


 「忠告はしたぞ、それだけ覚えておけ」


 肯定、と捉えて良いんだろうか。少し悩んだが足早に歩き去ってしまったレイヴンからして、それで間違いない様だ。


 改めて一息つき、肩を回す。さて、正念場だ。


 屠殺場に就職する時と何一つ変わらない。自分は怪しい者では無く、そちらの組織の役に立ち、熱心に働くと伝えるだけ。何も変わらない。


 ただ、ヤギやニワトリの代わりに帝国兵を切り分ける様になっただけだ。


 咳払いをしてから豪華な装飾の扉を、丁寧にノックする。


 「入れ」


 扉の奥からそんな男性の声が聞こえた。声からするに、少なくとも若くは無い。


 ゆっくり扉を開くと、そこには三人の男がいた。


 ラグラス人が二人、キセリア人が一人。二人のラグラス人は屈強な印象を受けるのに対し、キセリア人の方はどこか線の細い印象を受けた。


 その内のラグラス人の一人が、にこやかに語りかけてきた。外見から察するに、この中では一番高齢だろう。


 「やぁデイヴィッド、まずは我が団に入団してくれた事を嬉しく思う。私はアキム・ベジェレフ、黒羽の団の団長をさせてもらっている。君の経歴は聞いているよ、何故そうなったのかも。そうそう出来る事じゃない、君の様な男と同志になれた事を誇りに思う」


 「よろしく、デイヴィッド……デイヴィッド・ブロウズだ」


 伸ばされた手に、思わず握手を返す。


 アキムと名乗ったラグラス人の男はやや生え際の上がった銀髪を撫で付けており、高級だが使い込んだコートを着込んでいた。肩幅が広く長身なお陰で、目元に深く刻まれた皺のせいで高齢に見えるも、病弱や虚弱と言ったイメージとはまるで正反対だった。


 「思ったより品のある男だな、品があるのは良い事だ」


 不意に横から飛んできた言葉に眼を向ければ、上質なスーツを来た男が顎に手を当て、此方を値踏みする様に眺めているのに気が付いた。先程のキセリア人だ。


 先程のアキムに比べて若いものの、随分と身体が細く華奢な印象を受ける。オールバックにしたブロンドヘアもそれを後押ししている様に感じた。中肉中背と言った所か。品の良い袖に通っている腕の細さからしても、荒事に向いている様には見えない。


 「あぁデイヴィッド、こっちはクロヴィスだ。クロヴィス、デイヴィッドだ」


 クロヴィスと呼ばれた男が上機嫌そうに此方を見つめる。


 「よろしくデイヴィッド、クロヴィス・ブラヴェットだ。黒羽の団では議会や議員に対する方針を決定し、貴族を担当しているが、黒羽の団には貴族も民衆も無く、皆が平等だ。誰が誰とでも茶会を開く事が出来る。主人も奴隷も勿論無い。妙な隔たりや貴族の傲慢は一切ここには無いと思ってもらって良い」


 そう言って、クロヴィスと名乗った男は機嫌良さそうに笑みを浮かべた。白い歯がちらつく。


 「良い世界だな、あんたみたいな貴族が増えてくれる事を願うよ」


 「君の様な汚い言葉を使わない奴は大歓迎さ、最近の連中はすぐスラム仕込みの汚い言葉やスラング、下品な例えを持ち出してくる……私はそういう品の無い連中が我慢ならなくてね」


 その気になれば、俺もそれなりに貧民街の連中と口喧嘩が出来るのは黙っておいた方が良さそうだ。尻の穴からお前の奥歯を引っ張り出してやる、とか。


 「品があっても戦じゃ何の役にも立たんぞ」


 そんな中、横から不機嫌そうな言葉が割り込んで来た。


 声の主を見れば、もう一人のラグラス人だった。アキムも体格が良かったが、この男はそれ以上だ。


 随分と肩幅が広く、背も高い。6フィート余りある自分より明らかに高い。6フィート半近いのではないか?その上、着込んだ軍服の下に筋肉が詰まっているのが、目に見えて分かった。


 タカの様な眼が、剃刀の様に此方を睨み付けてくる。


 漂わせている空気で分かる。間違いない、こいつは軍人だ。軍人じゃないにしても、其処らの兵士以上に前線を弁えているのは間違いない。


 「そう邪険にするなヴィタリー、彼は最早団の一員なんだぞ」


 クロヴィスが諫めるも、ヴィタリーと呼ばれた男は腕組みをしたまま鼻を鳴らしただけだった。


 「悪いなデイヴィッド、気を悪くしないでくれ。ヴィタリーも悪い男じゃないんだ。ヴィタリー、挨拶しろ。デイヴィッドだ」


 アキムの声に、渋々と言った様子でヴィタリーが睨み付けている眼を背ける。


 クロヴィス程じゃないにしろ、アキムよりは確実に若い。銀髪は短く刈り込まれ、鷹の様に鋭い眼をしている。


 階級の高そうな、帝国軍の物ではない軍服を着込み、腰には剣を下げ反対側にはディロジウム銃砲らしきホルスターまで見えた。


 「ヴィタリー・メニシコフだ。軍事関連の立案と、作戦に参加するレイヴンの錬成を担当している。場合によっちゃ新兵の教育もな」


 それだけ言うと、それきり視線を他所に向けて黙り込んだ。不機嫌を隠す素振りも無い辺りから、随分と嫌われているらしい。


 「暖かい歓迎をどうも」


 皮肉を返すと不機嫌そうにまたも睨み付けられた。しかし鋭い眼だ、思わず剣の柄を握りそうになる。勿論、剣など持っている訳も無いが。


 「そこまでにしろヴィタリー、彼はこれから我等にとって重要な存在になるんだぞ」


 「……分かったよアキム、お前にゃ敵わん」


 溜め息混じりにヴィタリーが“降参する”と言わんばかりに手を振る。


 「さて、本題だ」


 アキムがそんな言葉と共に咳払いをし、クロヴィスもヴィタリーもそれに合わせるかの様に表情が真剣になる。


 「詳しくはまた後日話すとして、今日はデイヴィッド、君に与える任務について話そう」


 遂に、本題か。


 「我々黒羽の団は単刀直入に言って、最近大きな痛手を負った。作戦に失敗し、優秀な工作員、つまりレイヴンを何人も失ってしまった」


 「お前らの帝国軍によってな」


 不機嫌そうにヴィタリーが呟く。


 何故こいつが、こんなにも俺に噛み付くのか少し合点がいった。先程こいつは自分をレイヴンの錬成を担当していると言った、そして今まで帝国軍はそのレイヴンを何人も殺害してきた。勿論、帝国兵はそれ以上に殺されてきたが。


 その殺されたレイヴン達の中には、ヴィタリーに育てられたレイヴンも少なく無かった筈だ。


 言ってしまえば、愛弟子達を散々殺した連中の頭目がわざわざ目の前に出向いてきたのだ。牙を剥くなという方が無理な話だろう。


 「……そして、その痛手を目下修復中だが、圧倒的に情報と兵が足りない。特に経験豊富な熟練兵が」


 「そこで帝国軍から追い出された俺、という訳か」


 「そうだ。君は浄化戦争で充分過ぎる程経験を積んだ上に、隠密部隊に所属していたお陰で帝国の暗部にも精通している」


 「まさか、俺に教官になれってんじゃないだろうな」


 教官の話は帝国軍に在籍していた時も聞いたが、丁重にお断りさせて頂いたのを今でも覚えている。


 「帝国軍に居たお前にレイヴン達の教官が勤まるつもりか?ご立派だな」


 そんな言葉に直ぐ様ヴィタリーが噛み付く。此方が何か言い返そうとする前にアキムが続けた。


 「勿論違う。君は他のレイヴンとは協力するが、君を通常の部隊には組み込まない。他のレイヴン達とは別の、特殊な任務に当たってもらう」


 そんなアキムの言葉に、クロヴィスが続ける。


 「君は今の黒羽の団にとって、貴重な戦力なんだ。個人の能力で見れば、歴代の戦士達に比べても遜色無い程のな。だが帝国軍との差は益々開きつつある、今更保守的な体制、後手に回っていては絶対に勝てない。だからこそ貴重な戦力の君を、完全な別部隊に投入する。正直に言うが、これは結構な賭けだ」


 「具体的にはどんな?」


 俺の言葉に、アキムが一息置いてから口を開いた。









 「我々直属の独立個人部隊として行動し、現政権を支持している要人達を始末して貰いたい」

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