第11話
「あいつ、本当に来やがったな」
「まさか本当に噂通りとはな…………キセリア人で、その上元帝国軍だって?上は何を考えてるんだ」
「一応、帝国軍では優秀だったらしいが………それが今じゃ軍を追い出されて、屠殺場で働いていた所を拾われたらしい」
「あの作戦が痛手だったのは分かるが、幾らなんでも元帝国軍を引っ張ってくるとは……メニシコフ教官は何て言ってる?」
「気に食わん、だとさ。心から同感だね」
「教官もか…………上の考える事は毎回分からんな、あの帝国軍野郎が俺達の背中を刺さない保証がどこにある?」
「全くだ、同じ死なら俺は名誉の死を選ぶよ。キセリア人を勧誘して背中を刺されるなんて考えたくもない」
「この辺りで噂話はあまりお勧め出来ませんね」
「おお、これはこれはヘンリックさん。どうしたんです?この辺りに来るとは珍しいじゃないですか」
「散歩していたら今の話が耳に入りましてね。どうやら新入りの彼の話をしている様でしたので」
「………ヘンリックさん、あいつは何なんです?本当に信用出来るんですか?」
「まぁ、それは今議論しても仕方無い事です。それに、ほら」
「はい?何です?……………カラス、ですか?」
「余り不吉な事を言うつもりはありませんが、カラスがあんなに見つめている前で噂話をするのは余り良い事には思えませんね」
「……まぁ、気分が良いとは言いませんが、そこまで気にする事でも無いのでは………」
「私も信心深いとは言いませんが、不吉な事をしないに越した事は無いでしょう?只でさえ、噂話はとても誉められた話では無いのですから」
「……まぁ、ヘンリックさんがそこまで言うのなら。では私達はそろそろ訓練に戻りますので、失礼します」
「ええ、お邪魔して申し訳ありません、では」
「…………一体、どう躾けたらカラスに盗み聞きなんて芸当が出来るんでしょうね、全く」
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