05

 やっぱり仕事は失敗した。こんな依頼、受けるんじゃなかった。こんな街に来るんじゃなかった。


 仕事場を飛び出して。今度は、明確に意志を持って、公園に向かう。


 自販機で、水を買って。


 彼の上に座る。


「なんでですか。いまわざとやりましたよね?」


 隣に座って、水を飲む。


 何も、言わなかった。


 彼も、何も言ってこない。


 ただ、やさしく、時間だけが過ぎる。


 仕事の失敗を、忘れたかった。


 彼といることで。彼の顔を眺めることで。何かに、救われたいのかもしれない。


 空を見上げる。


 曇っていた。

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