04

 仕事で、やっぱり失敗した。

 ここまで失敗すると、もう笑うしかない。


 仕事場を飛び出して。あてもなく、さまよった。


 あてもなくというのは、案外信用ならないらしい。結局この前と同じ道で、この前と同じ公園にたどり着いていた。


 自販機で、何か買う。


 ベンチに座る。


「ぐええ」


「あっごめんなさい」


 この前の彼がいるのに、気付かなかった。上に座っちゃった。


「いえ。まあ、大丈夫です」


 また会った。


「重かったですか?」


「女性に重いって言ったら殴られますよね?」


「あはは」


 缶の蓋を開けて、呷る。


「おっ。炭酸飲料だった」


「えっ。すごっ」


 彼。綺麗な顔が、のぞきこんでくる。ちょっと照れるな。かわいい。


「炭酸飲料いっき飲みした。すごい」


「いや、まあ」


 ビール呷るのとそんなに変わらない。


「やりかた教えてください」


「いいですよ。はい」


 飲んでた炭酸飲料を渡す。まだ半分ぐらい残っていた。


「喉を動かさないようにして、そのまま下に流すイメージです」


 彼。


 炭酸飲料を口に持っていって。飲む直前で、止まる。


「間接キスになっちゃう」


 かわいいな。缶に手を伸ばし、ちょっとだけ、傾けてあげた。


「あっ。あがぼごごご」


 彼。缶から流れ落ちた炭酸飲料に口を塞がれる。


「おっ。おおお。できた。いっき飲み」


「そんな感じです。勢いで大体なんとかなります」

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