06
耐えられなくて。酒を買った。
公園に向かう。
彼がいた。お茶を片手に、ぼうっとしている。
上に乗ろうとして、やっぱりやめた。
隣に座って。
お酒の缶を開ける。呷る。
「わたし」
酒。味は特にしなかった。普通の酒。
「仕事が失敗続きで」
酒を呷りながら、ゆっくりと、喋る。
「むかしから。なにやってもだめで。どうしても、うまくいかなくて」
なにやってんだろ、わたし。
「まるで、失敗するために生まれてきたみたい」
見ず知らずの綺麗な顔の男性に、愚痴ってる。
「はあ」
酒。すぐになくなった。
立ち上がろうとして。
彼が。
乗っかってくる。
「おっ」
「いつものお返しです」
彼。一般男性の、一般的な体重。
「あっ胸を押し付けるのは勘弁してください」
と言われても、もともと胸が大きいほうなので、どうしようもなかった。
「重いですか?」
「いえ。そんなには」
「あなたの話は重かったですよ」
ふとももの上に乗っかられながら、話す。
のけぞろうとしたけど、ベンチの背もたれがあるからだめだった。結局、彼の背中に胸を押しつける形になる。
「お酒。美味しいですか?」
「いえ。味はあんまりよくわかんないです」
「そうですか」
そのまま。
ふたりとも、なんとなく、じっとしていた。
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