第2部 後半(小説3巻)

【WEB限定】(๑˃̵ᴗ˂̵)

 ◯前書き

 第3章は書籍2巻の続きとして執筆します。

 まず、この話で佐藤愛の記憶を改変します。


 ◯コミカライズ始まりました。

 https://pash-up.jp/content/00001500


 ◯書籍発売中です。応援よろしくです

 https://pashbooks.jp/series/oneope/


 ※ 以下、書籍版のネタバレを含みます。

 ※ 先に2巻を読むことを強く推奨します。




 ーーーーーーーーー-------




 ──(๑˃ᴗ˂)


「……なんだこれ」


 気が付いたら、目の前に謎の記号が浮いていた。


「……あれ、私、何してたんだっけ?」


 記憶がふわふわしている。直前まで有紗ちゃんと会話していたような気がするけれど、全く別のことをしていたような気もする。


 ──(๑˃ᴗ˂)!


 瞬間、謎の記号が光った。

 

「なにっ、なんなの!?」


 眩い光から目を逸らす。

 しばらくして薄目で様子を確かめると、見慣れた自分の部屋が目に映った。


「……夢、かな?」


 私は宙に浮いていた。

 そして部屋の中央、テレビを見ている自分の姿があった。


「……うん、夢だ」


 意識はハッキリしている。

 でも、こんなこと現実ではありえない。


 私は夢だと結論付け、なんとなく、テレビ画面に目を向けた。


「……あ、これ、あのときかな?」


 コスプレをした男性の姿。


 覚えている。

 私は衝撃的なニュースを見た。


 だけど直ぐに意識を切り替えた。

 もっと大事なことを考えていたからだ。


 懐かしい。まだワンクールも経っていない出来事なのに、遠い昔の話に思える。


 私は穏やかな気持ちで回想する。

 この後、打ち上げに参加して──


 ──(๑˃ᴗ˂)!!!


「あたま痛っ……え、夢なのに?」


 ……えっと、なんだっけ?

 ああそうそう、コスプレ社長の謝罪会見を見た後で出社したら急に反省会が始まったんだった。


 それからなんやかんやで神崎さんと話すことになって、西郷隆盛の──


 ──(๑˃ᴗ˂)!!!


「痛っ!? また!?」


 ……えっと、なんだっけ?

 ああそうそう、神崎さんの紹介でめぐみんと出会って、一緒に研究したんだよね。


 めぐみん、本当に凄かったな。

 あんな山奥で、独りで、ずっと……


 理由は、寂しかったからだっけ?

 幼い頃に両親が亡くなって、お爺さんと二人で──


 ──(๑˃ᴗ˂)!!!


「あぁぁぁぁ”! 割れるっ、頭が割れるように痛いぃぃぃ”!?」


 もうこれ絶対夢じゃないでしょ!? 

 何なの!? 呪われてるの!?


「……あれ、えっと、なんだっけ?」


 ああそうそう。

 めぐみんは幼い頃から何度も別れを繰り返してるんだよね。そのせいか、ちょっと私に依存しちゃって……。


「……まあ、ばっちり責任取りますけどね?」


 そんなこんなでめぐみんをお持ち帰りして、事務所へ戻った。それからケンちゃんに例の機械を見せたら、プラットフォームを作ることになったんだっけ?


 その戦略として、私はVRの世界に──


 ──(๑˃ᴗ˂)!?


「……あへへ、気持ち良くなってきたかも」


 ……えっと、なんだっけ?

 ああそうそう。チームが分かれたんだよね。


 私とめぐみんと翼が開発チーム。

 ケンちゃんとリョウは別チームで、直ぐに出張しちゃった。


 その直前、私はケンちゃんと話をした。

 めぐみんと一緒に研究したおかげで、私は自分自身の夢を──


 ──(๑TᴗT)


 ……えっと、なんだっけ?

 そう、結局、私の夢は見つからなかった。


 でもそれを正直に伝えて、お互い頑張ろうぜ、みたいな話をしたんだった。


 そして翌日、私は翼に頼み事をされる。

 それから有紗ちゃんにアニメを……


 ──(๑・ᴗ・)


 ……あれ、なんだっけ?

 ああそうそう。有紗ちゃんと勝負したんだった。それで、なんだかんだで有紗ちゃんの心に火をつけることに成功したんだよね。


 ──(๑˃ᴗ˂)♪


 ……何これ、急に、意識が──


「ハッ!?」


 目が覚めた。

 視線の先、見慣れた美少年の姿がある。


 自分の部屋。

 私はベッドで横になっていた。


「……あれ?」


 夢を見ていたような気がする。

 だけど、もう何も覚えていない。


「まあ、いっか」


 どうせ大した内容ではない。

 んーと伸びをして、ゆっくり身体を起こす。


「……いやぁ、それにしても、昨夜は良い物を見ましたなぁ」


 目を閉じると、あの素晴らしい光景が瞼の裏に蘇る。


「……有紗ちゃん、多分、大丈夫だよね」


 最後に見た彼女は、憑き物が落ちたような顔をしていた。そんな彼女を見る翼の眼も……あ、ダメ、思い出したら鼻血出そう。


 とりあえず、今日からまた開発再開だ。期限は四月まで。レベルアップして帰ってくると誓ったケンちゃんに負けない程度に、私も頑張るとしよう。


「さーて! 今日も一日、がんばるぞい!」

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