第26話、感謝祭

中央国では、王の賭け事好きが増長し、比例して税率が高くなっていく。

一方、東の国から独立した俺の町では税はとっていない。

中央国からの移住者というか脱走者が毎日のようにやってきて、町の外縁側に家を作っていく。


神様の加護のおかげか、何もしていないのに治安はよくて収穫率も高い。

まあ、税金の代わりにお供えしてくれるよう案内してるのだが、神様は満足してくれているのだろうか。



秋も深まったとある日、俺は感謝祭を催した。

飲食物は基本持ち寄りで、あとは俺が出資する。

中央に教会から持ってきた祭壇を設置し、お供え物はそこに奉納する。


開催することは、異界の神様にも報告してあるので、誰か一柱くらい降りてきてくれると盛り上がるんだけど…


食べ物や飲み物は、前回のパーティーの10倍用意した。

人口は10万人程度なので、全員が参加したらとても足りないが、持ち寄りなので何とかなるだろう。


「みんな、セナンの町に来てくれてありがとう。

そして、神様を敬ってくれてありがとう。

今日は、神様の恵みに感謝するイベントです。

では、神様ありがとうございます!カンパイ!」


「「「ありがとうございます!カンパイ!」」」


その時だった。中央に組んだ櫓に音のない雷が落ちる。


『やっほー。私はアメノウズメ。今日はみんなで踊ろう!』


ウズメ様の足踏みで、シャンシャンと鈴が鳴る。

ドンドコドンドコ太鼓を叩いているのは土の神ティターン様だ。


『踊り子のみんな、出ておいで~♪』


ドンドコドンドコドンドコドンドコ!シャンシャンシャンシャン♪


ドンドコドンドコドンドコドンドコ!シャンシャンシャンシャン♪


踊り子の皆さんが中央に出て踊り始める。


ウズメ様は、簡単なステップと手の振で踊り、踊り子の皆さんもそれにあわせる。

一人二人と、前に出て、自然と輪ができる。


アポロン様が火の玉を打ち上げ、空中でドーンと爆発させる。


「すごい、みなさん来てくださったんだ」


『当然じゃろ』


「あっ、異界の神様」


『離宮のお供えで、神界全体が活性化しだしておる。

それに、ここで名前を売っておけばお供えが増えるやもしれんとな』


『そうよ。次の入浴剤、期待してるからね』


『私のところはケーキね。そーれ♪』


咲也様が手をふると、そこかしこに花が咲き乱れる。


「アルテミス様、咲也様」


『わしは酒でよいぞ、なあ弟子よ』


「ヘファイストス様まで…」


『12宮の主たちは皆来ておるわ』


「ど、どうしてそんなに…」


『決まっておるじゃろ、楽しいからじゃよ』


こうして夜は更けていった。

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