第27話、暗殺
中央国からうちの町への人口流出が止まらない。
財政が破綻している中央国は、税金をあげ、それが更に流出を加速していく。
中央国、王の執務室である。
「ええい、税収が見込みより3割も少ないとはどういうことだ」
「公布した時よりも、さらに人口が減少しておりまして」
「ええ、忌々しい、セナンのところへ流出していると申すのか」
「それだけではございませんが、多くは…」
「どうするともりだ財務大臣!」
「臨時徴収するか、節約して支出を減らすしか手立てはございません」
「現状でも収入の30%ですよ。
これ以上上げたら、国民が飢えてしまいます」
「セイタよ。では、どうしろというのだ」
「王族の遊行費をなくして、兵士の一割削減。不要な城の改築費を先送りすれば補えるじゃないですか」
「ならんぞ!
民に十分な暮らしをさせて、王族が質素に暮らすなど、もってのほかだ」
「贅沢も何も、王の賭け事をやめるだけじゃないですか」
「ならんと言ったらならんのじゃ」
「陛下、こうなってはセナンの町を攻めて蓄えをいただこうじゃありませんか。
幸い、あそことは不戦協定など結んでおりませんから」
「やはり、それしかないか」
「無謀です。戦をするだけの資金もないんですよ。
それに、あいつは、最強の魔法使いを何人でも作り出せるんですよ」
「腰抜けは引っ込んでいてもらおう。
なに、奇襲をかけて混戦に持ち込めば魔法使いなど恐れるに足りん。
それに、暗殺部隊を先行させれば、セナンごとき簡単に屠れるであろう」
「よし、将軍任せたぞ!」
「うん?侵入者か…」
「そうしたのセナン」
「ちょっと、様子がおかしいんで見てくる、
ニールは寝てていいよ」
「うん、気を付けてね」
「こんな夜更けに何の用でしょうか」
「うっ、こいつだ!」
「やってしまえ」
シュッ! フヒュッ! ピシ!
バイーン バイーン バイーン
「グギャッ」 「ウッ」 「グエッ」
「カウンターを張ってあるんだ、吹き矢だろうが、毒針だろうが跳ね返しちゃうよ」
『ファイア!』 『アイスランス!』
「「ぎゃぁ」」
「魔法もおんなじだよ。
『
誰に頼まれたの」
「…将軍です…」
「そう、じゃあ将軍にお返ししてくれるかな」
翌日。出陣の準備をしていた将軍は、味方の暗殺部隊に殺されてしまった。
「ええい、頼りにならん馬鹿者が!
第一王子、全軍を率いて…いや、わしも行こう」
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