第18話、時の神 クロノス様の加護

「うーん、次は蜂蜜が欲しいな。

花畑を作って、虫使いのスキルで誘導してみようか。

そのために、養蜂の巣箱を作らないと」


木箱を作って、差し込み式の板を細かい六角形にくりぬいてと。

あとは、底を引き出し式にしてやれば完成と。


スキルで分蜂を誘発して箱に入れる。


小麦粉を練って、バターで焼き、蜂蜜をかけてホットケーキの完成。

食べやすいように小皿に取り分けて、フォークを添えてお供えの祭壇へ。

今回もスッと消えていった。


「気に入ってくれるといいけど、皆さんでお試しください」




ちなみに、俺が作ったものは、ネネとナナが商品化して店で出している。

次はフルーツと生クリームを使ったクレープだ。


「一度作ったもので、もう一度食べたいものがあったらリクエストしてくださいね」



-ああ、なんという見上げた心がけなんでしょう。


-そうじゃな、わしんところは、酒や餅やコメばかりで、こういったものは来ないからなあ。


-私のところなんて、花しか来ませんから。


-異界の神よ、もっとこやつにスキルを与えるのじゃ。

  そうすれば、モットいろいろな物が供えられるぞ。


-わしらは、自分たちのために力を使うことはできんからな。

  こやつに与えれば、供えてくれようぞ。



「今ある食材だと何が作れるかな…

そうだ、シードルと蜂蜜酒も作ってみよう。

唐揚げとポテトチップスなら今の材料でも作れるし、よし!」


-おいおい、なんて気の付くやつなんだろう。

  農業の神よ。

  酒が入ったらとっておけよ。


「ブドウもあるから、ワインを仕込んでみるかな。

それから、ポットスチルを作ってブランデーも試してみるか」


-農業の神よ。ブドウをもっと豊作にしろ!


-ちょっと待ってよ。

  ワインなんて、早くても来年よ。

  誰か、発酵と熟成を短期間でできるスキルを与えてあげたら!


-それなら時の神だな。


-よっしゃ、わしの出番だ!



ポワン!


『セナンよ。わしは時の神クロノスじゃ』


「と、時の神様でございますか。ははー」


もう、ひれ伏しちゃうよね。


『常日頃のお主の心がけ見上げたものじゃ。全ての神が褒め称えておる。

そこでじゃ、わしから発酵と熟成のスキルをそちに授けようぞ』


「発酵と熟成でございますか。するとワインなども…」


『そうじゃ、込める魔力の量で速度もコントロールできる。

これを使えば、ワインなんぞあっという間じゃ』


「まさか、醤油や味噌も…」


『可能じゃ。必要な酵母は自然と集まってくるからのう』


「あ、ありがとうございます」


『これからも精進することじゃ』


「はい!」

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