第17話、お供え専用祭壇…そんなもん、誰が作ったんだ

「セイタ、すまんやり方が分かったから必要なくなった」


「そうか、王に確認したら、確かにあるそうだ。

だが、貴重な品だから、金貨400枚だといわれたよ」


「まあ、アイテムとしては確かに貴重ポイけどな」


「それでも、金貨400枚はないだろうよ」


「あはは、プリン10個で教えてもらったよ」


「プ、プリンだと!」


「ああそうか、お前も日本人だからプリンを知ってるのか」


「く、食わせろ!」


「それくらい、自分で作れるだろ」


「馬鹿野郎、健全な高校生がプリンなんて作れるわけないだろ」


「わかったよ。2個あるからやるよ」


「クウッ、プリンだ!」



家に帰って、マントを脱ぎ指輪をはめる。

確かにステータスは幸運+300になっていた。


「これで、料理に専念できるぞ」



-神様、僕にはプリンくれないんですか?


-神への供物じゃからな。


-供物じゃなくて、単なる手土産ですよね。


-しょうがないな、一個だけじゃぞ。


  ドヤドヤドヤ


-おい、異界の神よ、旨い供物が入ったらしいな!


-まて、これはわしのじゃ…


-神は相見互いだよな。


-そうそう、喜びも苦しみも分かち合う約定でしたわよね。


-………




「そうだ、神様にもお世話になったんだから、お礼をしないと。

とりあえず、プリンを作って…教会でお供えすればいいのかな…」


-神様、セナンが明日プリンをお供えしてくれるそうですよ。


-でかした!

  教会に専用の祭壇を開いて、そこへ置くよう誘導せねば。



プリンは、至って簡単だ。

タマゴと砂糖・牛乳を混ぜて濾す。それを蒸して冷やすだけだ。


翌日、プリン20個を持って教会に行き、ステラさんに事情を説明した。


「不思議なのよ、夕べいきなり『お供え専用祭壇』なんて書かれた祭壇が出現したの。

きっと、予見されたのね」


俺がその祭壇にプリンを奉納したところ、お盆毎スッと吸い込まれるように消えた。


「神様、ありがとうございました。

おかげさまで、ミクルと暮らすことができるようになりました。

これからも、新しいお菓子を作ったらお供えいたしますので、皆様でお召し上がりください」



-なんという見上げた心がけだ。


-そうですね”皆様で”ってところが泣かせるわね。

  ああ、プリンの美味しいこと。


-解せん、なぜわしに対する専用のお供えボックスに、皆で群がるのだ…


-こういうのは、皆で食べるから美味しさが増すのよね。


-嘘だ!お前ら、自分に奉納された酒は独り占めするじゃろうが!


-いや、記憶にないな。


-まあいいわい。これからも供物がきそうじゃからな。


-ああ、プリン美味しい…

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