第16話、呪いのマント…前魔王のお古だって話だ

「ご、ごめん!」


「よいのです、誰にでも失敗はあります。

神はお許しになるでしょう」


「と、ともかく、ミクルは引き取って帰るよ。

お礼はあらためて」


「はい」




俺はミクルを連れて、家に帰った。


「ただいま」


「お帰りなさいませ。

アイテムは見つかったんですか?」


「ああ、このマントだ」


「…という事は…、そのマントは脱げないと…」


「どうだろう、付与されている呪いを、別のアイテムに複写できるか試してみるよ。

うまくいけば、ミクルと一緒に風呂に入れるしな」


俺は魔道具師の元を訪ねた。


「すみません、武具の効果を複写する魔法ってないですかね。

この防具の効果を、指輪に写したいんですが「


「そんな魔法があったら、勇者の装備一式を複写できちまうよ。

まぁ、ダメもとで中央にいる俺の師匠を訪ねてみな。

本人は知らなくても、何かしってるかもしれねえぜ」


俺は、師匠とやらの名前と場所を聞いて、中央に向かった。

ミクルはネネとナナに預けた。



「おお、そういうアイテムがあるというのは聞いたことがある。

じゃが、都市伝説レベルじゃな。

あるとしたら、この国の宝物庫じゃろう」


俺は勇者セイタに頼んで、探してもらうことにした。


「そうだ、あのお婆さんなら何か知ってるかもしれない」


俺は、最初の日に拾ってもらったお婆さんを訪ねた。


-神様、大変です。

 セナンがお婆さんを訪ねて…今向かってます。


-急にまた、どうしたんじゃ。


-防具の呪いを、アイテムにコピーする方法を知りたいようです。


-そんなもん、魔法の付与と同じじゃないか。


-ですが、呪いの付与は広まってないんです。


-仕方ないのう。



「ご無沙汰しています。

おかげさまで魔王を倒すことができました。

これもお婆さんのおかげです。

これ、俺が作った菓子ですけど、よかったら食べてください」


「ああ、立派になったもんじゃ。

遠慮なくいただこう。

…!うん、美味いぞ。

おぬし、こんな特技があったんじゃな」


「それで、もしご存じなら教えていただきたいんですが」


「なにをじゃ」


「この防具に施されている呪いを、別のアイテムに複写したいんですが、誰もやり方を知らなくて」


「そんなの簡単なことじゃ。

『鑑定」と『属性複写』を組み合わせればよい」


「属性複写ですか?」


「ああ、かしてみい。

このローブの属性を指輪に写せばいいんじゃな。

『鑑定・属性複写!』

ほい、終わったぞ」


「あ、ありがとうございます」


「注意しろよ。両方装備するとプラスになるからな」


「はい!」

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