第15話、魔王城を家探ししてみた
「そうじゃ、お主のステータスに幸運を追加してやろう。
今はー300じゃが、効果のあるアイテムなら、少しでも数値が上がるはずじゃ」
「ありがとうございます」
「じゃあな」
「はい」
ステラには金貨20万枚を渡し、孤児院でも作ってくれと頼んである。
必要があれば、家を使ってもらっていいとも。
そして、ニールの墓の前で俺は泣いた。
これほど大切な存在を失ったのだと思い知らされた。
いつの間にか、いて当たり前の存在になっていたのだと気づき、その大切さを見失っていた自分の愚かしさに打ちのめされた。
いっそ、死のうかとも思ったが、今の俺にはミクルがいる。
娘を放り出して自分だけ逃げるわけにはいかない…
気を取り直して呪具探しに出かける。
手始めに武器屋だ。
「ごめんよ」
「おーい、誰か店で謝ってるから、何があったか聞いてくれ」
「あっ、いらっしゃいまし…」
「この店で、誰か呪われてないか…、いや呪われた武具やアイテムを探しているんだが」
「あっ、壊れた店主ならおりますけど、お持ちになりますか?」
「いや、いい。邪魔をした」
「嘘ですよ、お客さん。
呪いの品は置いてませんけど、そういったものはお城に持ち込まれると思いますよ」
「そうか、ありがとう」
俺は城に行き、門番に事情を説明して王様に取り次いで確認してもらうが、呪いのアイテムはないとのことだった。
中央国、南国、西国、北国すべて回ったが、幸運を下げるような武具・アイテムは見つからなかった。
仕方なく、北国で食料を大量に買い込み、魔王城に向かう。
ドロップ品目当てなので、前回のように結界は使わず、地道にモンスターを倒していく。
魔王城の前に収納から出した小屋を設置し、毎日モンスター狩りだ。
それと、魔王城をしらみつぶしにチェックし、どこかに呪いのアイテムが保管されていないかもチェックしていく。
そんな生活を続けること半年。
ついに俺は玉座の下に隠し階段を見つけた。
果たして、そこは宝物庫で、様々なアイテムや武具が保管されていた。
宝石類は収納に格納し、俺は一つ一つ鑑定で確認していく。
そこでついに見つけた。
先代魔王のローブという防具で、防御力を3倍にし、幸運値をマイナスにするというものだ。
早速革鎧の上からローブを装備しステータスを確認すると、幸運がプラス300になっていた。
これで帰れる…
残りの武具・アイテムを収納にしまい、俺は帰路についた。
帰りは結界付きの木馬馬車で帰る。
俺は教会に直行し、ステラを抱き寄せた。
「ああ、ついに人並みの生活を送ることができる。
ありがとうステラ…、あっ…」
ミサの最中だった…
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