第12話、朝飯はちゃんと食べよう

「作り置きのスープですけど、よろしかったらどうぞ」


「あ、ありがとう。夕べから何も食べていないんだ」


「でしたら、パンもありますよ」


「うわっ、フカフカのパン…」


「収納持ちなのか」


「まあな」


「まさか、この小屋も…」


「当然だろ」


「だが、そんな余分なスキルを持ってたら、魔王討伐に困るだろ」


「なんでだ?

こいつらは攻撃2倍・防御2倍と高速移動と身体強化とEXヒールとEXキュアがあれば問題ないだろ。

ああ、あと物理障壁と魔法障壁な。

これで7つだから、あと収納と念のため攻撃魔法一つと結界な」


「おいおい、EXヒールを覚えるには、ヒールとハイヒールを覚えてからだから、それだけで三つだろ」


「キュアも同じですし、物理障壁も物理耐性強化を覚えてからですわ」


「今セナンさんが言ったのって、全部最上級ですから、全部覚えようと思ったら国宝級のを10個くらい使わないと無理だよ」


「えっ、国宝?無理?」


「そうだ。スキルの上限は10個だから、一度覚えた下位スキルを消すってことだ」


「えっ、スキルって上限あんの?

だとしても、のスキルがあるだろ」


「聞いたことねえよ、そんなスキル」


「上限を知らないって…、いったいいくつのスキルをお持ちなんですか」


「3000くらい?」


「なんで、なんですか!」


「だって、俺のスキルって表示されないから、わかんねえんだ」


「表示」 「されないんですか?」


「ああ、だから無能扱いされて、無一文でポイされた」


「国外追放の真実はそれか…」


「ああ、無一文どころか、着の身着のままだぜ。

中央国の王だけは許さねえ」


「そういえば、気になってたんだが、何で革鎧に鉄のショートソードなんだ。

もっといい装備くらい買えるだろ」


「おう、追い出されて最初に会った魔法使いの婆さんにもらったんだ。

両方とも神話級の装備品だ」


「「「神話級!」」」


「ああ、破壊不能で身体強化つきだ」


「「「破壊不能!」」」


「ああ、スキルが表示されないって確認してくれたのも、その婆さんだ。

いつか魔王を倒してくれって、この装備をもらった。

俺って、あったから、あの婆さんに出会ってなかったら死んでただろうな」


「不幸属性があるようには見えないが…」


「Bランクに上がるまでは、パーティーにも入れてもらえず、一人で黙々と依頼をこなしたさ。

このニールに出会って、不幸属性同士が一緒になったことでプラスに転じたんだ」


「マイナス×マイナスか…」


「ああ、神さまもそういってた。

ニールと離れたら、またマイナスに逆戻りだってさ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る