第11話、魔王城にいこう!
「薬剤師の仕事なんか見てどうするんだい?」
「魔王の盗伐に出ようと思ってるんだけど、万一途中で回復薬が切れたら困ると思ってさ」
「ほう、魔王盗伐にね。なら、最高級のハイポーションの作り方を見せてやろう。
まあ、見たからってマネできるわけないけど、何かの足しにはなるだろう」
『調合!』 『性能アップ!』 『定着!』
「戦士が鍛冶の仕事を見てどうすんだよ」
「魔王の盗伐に出ようと思ってるんだけど、ほら、俺って鉄のショートソードしか持ってないからさ。
いい武器を手に入れるには、名人の仕事を見れば、質のいい武器や防具を買えると思ってさ。
女性用の革鎧てとショートソード、それから魔法師用の杖。買い取るから作ってくれないかな」
「そういう事か、よっしゃ腕によりをかけて作ってやるよ」
『鍛造!』 『焼入れ!』 『急冷!』 『研磨!』
「魔道具師の仕事なんてみてどうするんだい?」
「魔王の盗伐に出ようと思ってるんだけど、この胸当てとショートソードに役立ちそうな魔法を付与してほしいんだ」
「そういう事なら任せな。
奥さんだよな、なら『防御強化!』『魔法防御!』『攻撃力2倍!』『氷属性付与!』
こんなところでどうだい」
「ありがとう、助かるよ」
こうして俺は、素材を買い込み、最高級のハイポーションを400作り、メンバーに100本ずつ持たせた。
次は、革鎧だ。
最高級といわれるドラゴンを3匹倒し、一番の素材となる額の革で革鎧を3着作る。
それに魔法防御と絶対防御を付与する。
絶対防御は、どんな攻撃でもHP二分の一のダメージに抑える魔法で、最後は必ず1残る不死の魔法だ。
それから、尻尾の最先端の骨で杖を3本作る。
ここが最も魔力を効率よく放出するのだ。
それから、足の革でブーツを4足作り、倍速の魔法を書き込んで完成だ。
噂ではセイタも魔王討伐に向かったらしい。
まあ、どちらが討伐しようが問題はない。
俺たちは、北国からさらに1か月分ほど北にある魔王城へ向かった。
例の地を滑る木馬馬車である。
夜は収納からキッチンのついた丸太小屋を出して、ちゃんと食事をとってからベッドで眠る。
朝も、ちゃんと食事をとる健康的な旅だ。
食料も十分に用意してあるから、無理はしない。
魔王城が微かに見えてきたとある夜更けだった。突然ドアをドンドンと叩く音で俺たちは起こされた。
「なんだ、こんな夜更けに」
ドアを開けると、ボロボロになったセイタ達がいた。
「すまん、魔王軍にやられた…セナンか…」
「よお、奇遇だな」
「悪いが、少し休ませてもらえないか」
「ああ、いいぞ。魔物除けの結界を張ってあるから、ゆっくりしていってくれ」
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