第9話、現勇者vs元勇者
二回戦は西の国だった。
見覚えのあるやつもいる。
戦士系3人に補助兼回復役一人。
俺は高速移動を追加して問題なく叩き伏せる。
三回戦は南の国戦で、こらも勝ち進む。
会場内にアナウンスが響き渡る。
【さあ、武道大会も、残り1試合を残すのみとなりました。
連覇を狙う東国と、威信をかける中央国。
勇者を擁する中央国は何としても負けられない。
おーっと、ここで最新情報が入ってまいりました。
東国のセナン選手も中央国が召喚した勇者だった!
だが、スキルを持たないために国外追放にされた!
そのため、新たに召還を行って現勇者
現オッズは9:1で中央国有利とみている。
さあ、勇者対勇者。勝つのはどっちだ!】
「おっ、オッズは9:1だってさ」
「これまで勝った金貨1万枚賭けたのに、それでも圧倒的に向こうが有利とみられているんですね」
ちなみに、金貨一枚は約5万円の価値がある。
「こっちにとっては有難いことだよ」
「おい、セナンというのはお前か?」
「ああ、そうだが」
「俺は勇者セイタだ。
俺は、女をいたぶるのは好きじゃない。
次の試合は差しでやろうぜ」
「俺は構わんが、運営の方は大丈夫なのか?」
「なあに。これまでのお前のやりかたをうちも実行する。
補助魔法をかけたら3人は棄権させる。
そっちも、これまでのやり方を続ければいいだけだ」
「承知した」
「スキルを持たないお前と、完璧な装備に万全のスキル。
棄権するなら今のうちだぞ」
「ご親切にどうも」
「じゃあな」
「ああ」
「向こうは、本当に3人棄権するんでしょうか」
「まあ、向こうが棄権するまで倍々を繰り返してくれればいい。
俺はその間に身体強化と高速移動を重ね掛けするからな」
「それって、人間の限界を超えちゃいませんか?」
「そこまでの強化はしたことがないからな。
まあ、大丈夫だろう」
こうして、俺たちは試合会場で対峙した。
【さあ、いよいよ本番です。
勝つのはどちらか。
現勇者対元勇者の戦いが始まります。
それでは、試合開始です】
「双方礼…
試合開始!」
少し間をおいて、勇者セイタは三人に合図して棄権させた。
俺も、ニールに合図する。
【おーっと、双方とも勇者以外は棄権した!
これは、勇者だけで勝負だぁ!】
「いくぞ!」
「ああ」
勇者セイタの姿が会場からフッと消えた。
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