第8話、武道大会に出ることになった

さて、俺とニールは、約3kmまでは離れていても大丈夫だ。

それ以上離れると、途端に災難が降りかかる。

石の塀が崩れてきたり、地面が陥没したりするのだ。

指輪は、その境界に近づくとピリピリと震えて教えてくれるのだ。


やがて、俺とニールはSランクとなり、東のギルドを代表するペアになっていた。

この大陸では、年に一度中央国で各国対抗武道大会が開催される。


男性ソロ部門、女性ソロ部門、男女ペア部門、無制限パーティー部門があり、複数には参加できない仕組みだ。

無制限パーティー部門は4人パーティーの団体戦で、俺たちはここに出場する。

あとの二人はネネとナナだ。

二人も冒険者登録しており、一応Aランクになっている。


各国ともに、無制限パーティーに注力してくる。

東は、去年の優勝パーティーを分散して振り分けた。


最初は男性ソロだ。

ここは各国ともにパワーヒッターを出してくる。

東の国の代表はバランス系の剣士で、エースだ。

総当たりの4戦すべてに勝ち優勝した。


女性ソロにはスピード特化の探索系の女性だ。

魔法使い系が圧倒的に多い中で、女王様のムチを装備した彼女は圧倒的だった。

女王様のムチは魔法を吸収し、そのまま蓄積した魔法で相手を打ち据える魔道具だ。

ムチで撃たれる相手チームの女性のあげる悲鳴と苦悶の表情が会場を沸かせた。


男女ペアにエントリーしたのは、盾役のごつい男と僧侶だ。

ここは検討するも2位になった。


最後は俺たちだ。


初戦は北の国。

剣士2名と魔法使い、僧侶のオーソドックスなタイプだ。

総当たり戦なので、結局は当たるのだがニールが委縮しているように見える。

うちの戦法は、全員が俺に攻撃力・防御力2倍と身体強化をかける。

剣と防具に強化がかかっているから、64倍の威力になる。


これで、防御障壁をぶち破り、剣の平で叩いていくだけだ。


「三人とも、魔法をかけ終わったらリタイアしろ」


手持ちの武器を床に置いたら、リタイアになり、それ以上の攻撃は禁止されている・


「うん」「「分かりましたご主人様」」


会場からは、キツネが3匹かよ、東の国は勝負を捨てたなとか聞こえてくる。


開始の合図とともに、俺は全力で突進する。

剣士の一人をすれ違いざまに叩き、もう一人は無視して呪文詠唱中の僧侶と魔法使いを叩く。

俺たちには無詠唱のスキルがあるのだが、普通は長ったらしい呪文を詠唱して魔法を使う。

無詠唱が使えるのは、ごく限られた人間で、それこそ勇者パーティーくらいにしかいない。

俺が会得できたのも、最初に出会った魔法使いのお婆さんが教えてくれたからだ。

スキル付与の魔法も、存在自体知られていない。

これで、残りは孤立した剣士一人だ。


中央付近まで進んだ

振り向いてライトニングアロー雷の矢を叩きこむ。


圧勝といっていい。

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