第7話、東の国

「ま、魔王なんて…私にはムリですよ」


『大丈夫じゃ。戦闘はセナンが行うからの。

お主は、ただセナンに災いが起こらぬよう側にいればよい』


「は、はい」


『もし、可能ならば、夫婦となるのじゃ。

さすれば、神として祝福しようぞ』


「ぼ、僕に異論はありません。

一緒にいてくれる人が見つかるなんて考えてもいませんでしたから」


「わ、私もデス。

誰かと一緒にいられるなんて…」


『では誓いの口づけじゃ』


「「はい」」


チュッ


カラーンコローン 遠くで鐘が鳴り、花びらが降ってくる


『その指輪が、二人が離れた時の道標となる。

では、二人に幸多からん事を』


「「ありがとうございました」」



二人の左薬指には金色の指輪が収まっていた。


「もう一度キスしていいですか」


「はい…」


キスだけでは収まらなかった。

俺はニールに体を重ねた。


翌朝、スキルの一覧が枕元にあった。

それを元に、常時発動型の物理防御と魔法防御をセットし、ニールにもスキル付与でセットしておいた。

ついでに、収納もセットしてあげる。

クリーンは元から覚えていた。


ニールは荷物を収納に入れ、ニールの小屋を解体して馬車の形にする。

馬車を引くのは木馬だ。引くといっても、空中を浮遊していくので揺れはない

これは、最初にお婆さんが使っていた魔法だ。


東の町でニールの冒険者登録を済ませ、二人でどんどん依頼をこなしていく。

ニールには広域魔法をセットし、多数の相手ができるようにしてある。

サンダーシャワーとかアイススタンプとかの魔法だ。

もちろん、キュアとヒール系はセット済みだ。


俺とパーティを組んでいるので、ニールはすぐにE・Dとランクをあげる。

ワイバーンやランドドラゴン系も容易く倒すと俺はAランクに、ニールもBランクになった。

ドロップ品も多く、ダンジョンではレアなアイテムが数多く出てくる。

魔力消費を半分にする幸せの黄色いバンダナや、相手を従属させる女王様のムチとかだ。


これらを換金して家を買い、メイドも雇った…というか、奴隷だったキツネ耳の少女を買い取って開放し、メイドになってもらったのだ。

ネネというこの少女は働き者で、妹がいるというのでその子も探し出して雇っている。

ネネとナナは、料理も上手で洗濯・掃除の大好きな、どこかのカミさんに見せてやりたいくらい働く。


句読点を間違えてはいけない。”料理も上手で、洗濯・掃除の大好きなどこかのカミさん”ではない。

絶対に違う。

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