新第8話 ドミー、ざまぁの準備を整える
コンチさま向け報告
1.男性ドミー、チュートリアルクリア
2.【魔法士】ライナの完全支配に成功
3.【創造計画】開始
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「…ん?」
気が付くと、【目覚めの森】とは違う場所にいるのに気付いた。
あたり一面に広がる草原と、青い空。
見回しても、それ以外には何もない。
「起きたようだね!」
上空に気配。
純白の服装と肩から翼を生やした天使が降り立つ。
俺にスキルを与えてくれた存在。
「コンチか」
「チュートリアルクリアおめでとう!流石、僕が見込んだ男だ。君の肉体と判断能力が、スキルそのものに戦闘能力がないという弱点をうまく補っている」
「そりゃどうも。で、ここはどこなんだ?」
「君が支配する精神世界、まあ夢の中と言ってもいいだろう。少しお邪魔させてもらった。ライナは、現実の君の隣ですやすやと寝ている」
「そうか…俺が支配する世界ね」
「うん?」
なら遠慮はいらないだろう。
俺はコンチの頬に右手を伸ばす。
「お前と再開した時、ぜひやりたいことがあったんだ」
「やりたいこと…」
「ああ。それはすなわちー」
「ファッ〇ン悪徳天使の成敗っ!!!マザーファッ〇ー!!!」
頬をつねることだった。
割と強めに。
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「いででででで!な、なにするのさああああ!」
「大人しくしろ!この刑は暴れるほど痛みが増す!」
「僕は君にスキルを与えたじゃないかあああああ!こんなの酷いよおおお!」
「確かにその恩はあるな。それに加え、一度俺の怪我を治癒してくれている。2回の借りというわけだ」
一時的に右手の力を緩める。
「だ、だろ?」
「だが、そのあと俺は2度も殺されそうになった。1度目はライナ、2度目はワーウルフだ。どちらもお前の指し金なら、借りはチャラだ。違うか?」
「まあ、そう言われると…」
「それに!」
こいつに言っておかねばならないことがある。
「一歩間違えれば、ライナは人を傷つけてしまうところだった。そうなれば、彼女は心に深い傷を負ったに違いない」
「うぬぬぬぬぬ…」
「幸いそうはならなかったし、お前にもなんらかの思惑があるのだろう。せめてもの情けとして、頬つねり刑で許してやる」
「…分かったよ」
「よし、そこを動くなよ」
「うん…ってなんで左手にも力を込めてるのおおおおお!?」
「俺とここにいないライナ2人分のパワーだあああああ!!!」
「あんぎゃああああああああああ!!!」
こちらに主導権がある夢の世界というのもあるのだろうが、コンチの力は予想通り大したことなかった。
俺も治癒したのもCランクのスキル【キュア】だった(通常より多少強力だったが)し、ワーウルフに至っては【縮小の檻】を使ってようやく捕らえている。
肩書きに捉われず、相手の実力は正確に測らないといけない。
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「すびばせんでした…調子に乗りすぎまひた…」
数分後、コンチは【通常土下座】を展開した。
【ジャンピング土下座】よりはややランクが落ちるが、まあいいだろう。
「許す!!!お前は俺以外では唯一の男性だからな。仲直りした後は友人だ」
「まったく…力を与えてくれる存在にこんなことするのは君が初めてじゃないか?」
「俺は人でも神でも遠慮はしないさ。で、ここに何しに来たんだ?」
「そうそう、君に2つプレゼントしたいものがあってね」
「いいのか?もらっても」
「まあ、チュートリアルをクリアした記念だと思ってくれ。1つ目は、君専用のステータス画面だ」
眼前に、青い画面が登場する。
【ビクスキ】を会得した男性 ドミー
種族:人間
クラス:変態
スキルレベル:1
利用できるスキル:【支配】
支配人数:1人
一口コメント:旅はまだ始まったばかり
「…随分シンプルだな」
「君はランクやステータスに縛られる必要はないさ。それに、結果を出していけば少しずつ豪華になるはずだよ」
「なるべく長い旅にしたいもんだな。で、2つ目は?」
「さっそく、君に新たなスキルを授けよう!」
早速【ビクスキ】の力を拡張した男性 ドミー
種族:人間
クラス:変態
スキルレベル:1
利用できるスキル:【支配】【急所】
支配人数:1人
一口コメント:触れれば勝てる
「【急所】って…なんだ?」
「おいおい分かるさ。さあ、そろそろお別れの時」
草原が、にわかに暗転していく。
「ちょっと待って!最後に見た映像だが…」
「ああ。セッ◯スのことかい?それはまだお預け。君の性欲はスキル行使を通じて解消されるから、しばらくは困らないだろう」
意識も、途切れ途切れになっていく。
「君が自分の志と、人生のやり直しを遂げるのを楽しみにしてるね…」
そして、何も分からなくなった。
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朝の爽やかな空気。
森のざわめき。
先ほどは明らかに様子が違う光景。
(帰ってきた。いや、目が覚めたか…)
火の消えた焚き木のそばで身を横たえている。
起き上がろうとしたが、そばで寝ている存在に気づく。
「すー…すー…」
ライナだった。
俺の腕に身を絡ませ、俺の体温を得ている。
「ありがとう…」
独り言を呟き、幸せそうに笑みを浮かべた。
(しばらくはこのままでもいいか…)
俺も再び眠ろうと思ったが
気配を感じた。
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「【アレスの導き】?」
「ああ。俺を追放した連中だ。何故かは分からないが、こちらに近付いてる」
「私には感じないけど…」
「一応1年間は行動を共にしたからな。あの逝・ってよし三人衆の出す気配はすぐ分かる」
「じゃあ、どうするの?」
ふははははは、もちろんビク◯ビクンさせてやるわ!
とは言えない。
というか無理。
不意を突くならともかく、まともにやり合ったらシックスパックがいくつあっても足らない。
ライナを【強化】してもB+ランク程度である以上、戦うのは危険すぎる。
ならば逃走だが、普通に逃げても追いつかれる。
工夫を凝らさなければー、
「そうか…」
「え?」
「ついにあれを使うときが来たか!」
懐からあるものを取り出す。
いつか、あいつらにぶつけてやりたいと思っていたアイテム。
それは、3つの茶色い球。
「これは…?」
「こいつは、あるスキルを内部に閉じ込めている球だ。だが、起動するにはとある要素がいる」
きょとんとしている少女の方に、目を向ける。
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「すなわち、ライナの力だ!」
次回予告
第9話 ドミー、三人衆にざまぁする
「ドミー、どうして…」
捨てられた女が泣きます。
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