第6話 第二の『オーパーツ』
歩夢先生から二番目の『オーパーツ』のある場所を聞き出す。
謎の鍵を渡されて三階の廊下にある水道にたどり着く。
七不思議の一つ、水の出ない水道である。勿論、七つ無い七不思議である。
真奈が水道の蛇口をひねるが何も起きない。見た目はただの水道なので後ろの配線をたどっていく。配線は壁にあたり、隣にドアが有るのであった。歩夢先生から借りた鍵を使うとドアが開く。
中は真っ暗な闇の世界が広がっていた。電灯らしきスイッチはなく。携帯のライト機能で中に入る。しかし、やたらと真奈がくっついてくる。
狭くて暗くて怖いらしい。
複雑な配線の中で水道の配線をたどり、バルブに行きつく。俺がバルブを開けると水が滴り落ちる。
うん?バルブの裏にCD-ROMを見つける。これでここのミッションは終了である。
そして、このバルブまでの道のりは十メートル程である。俺達は戻って水道を確認しようと暗い道を進む。
やはり、真奈がくっついてくる。外に出て水道をひねると水が出る。これのどこが七不思議なのであろう?
『これって、つまらなくない?』
俺が首を傾げていると、携帯から入江の呟きが聞こえる。うむ、台無しなセリフだ。
あれ?真奈の顔が赤くなっている。
「バカ、バカ、バカ……」
俺の問いに『バカ』を連発する。これはひょっとして吊り橋効果なるモノではないのか?
それから三日ほど真奈から視線を感じるのであった。七不思議に残るくらいだ。
恐るべし吊り橋効果……。
学内サーバーの点検の為に今日は午前中で授業が打ち切りになった。自然と旧美術室に足を運び入江に会いに行くのであった。室内に入ると……。
『むぎゅーとだよ』
何故か俺を真奈が後ろから抱き締める。入江がキレかけた瞬間である。真奈は俺から離れて大量のタコ焼きを取り出す。
「タコ焼きの大食い大会だよ」
入江は大量のタコ焼きを見て眼差しをキラキラさせる。
「うふ」
不敵な笑みを浮かべて真奈はタコ焼きを机の上に乗せる。
まるで『むぎゅーとだよ』をやりたい為にタコ焼きを用意したかのごとくである。蒼色の髪のデータの塊である入江は旧美術室でなら食べる事もできる。
「それでは、スタートだよ」
そう、三人は無言で並べられたタコ焼きをガツガツ食べる。ほどよく塩気の効いたタコ焼きは食欲を誘う。
———……。
イカン、食い過ぎた……俺が箸を止めるが二人はまだ食べている。仕方なく、二人の食べっぷりを眺めていると。
大量のタコ焼きを完食する。勝者は二箱多い真奈であった。よどんだ顔の入江に対して真奈は余裕の表情である。
そして、俺が油断した瞬間に真奈は『むぎゅーとだよ』と後ろから抱きついてくる。
戦意喪失の入江の前でバカップルになるのであった。
ダメだ、ここは振り解かねば。俺は真奈を椅子の上に置き『ハウス』と言う。
「は~い」
返事を返した真奈に対して体重は大丈夫なのかと聞く。
「ガビン!」
ダイエット中であったらしい。ま、よくあることだ、ダイエット中に大食いをすることである。
そんな俺達の会話を聞いていた入江はクスクスと笑う。今日は一段と人間臭い入江であった。
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