第4話 キー・オブ・ザ・パーツ
入江と仲良くなって、改めて、元の肉体が欲しいと言われた。しかし、なんだろうこの胸騒ぎは……。
俺は歩夢先生に相談しにいくことにした。朝のショーホームルームの前に職員室に向かう。
「おはようございます」
「あぁ、入江先輩のことか?」
「先輩?」
「そうだ、入江先輩はわたしが学生時代の美術部の先輩だ」
俺は歩夢先生の言葉を考察することにした。入江は旧美術室での仮想空間の存在で、もっとネットをかえしてだけ移動ができてデータの塊である。俺は素直に入江の力になりたいと言うことにした。
「具現化か……」
歩夢先生は口を閉じて難しい顔をする。やはり入江の願いは難しいらしい。
「データ化した時の関係者である『室宮』先輩に聞けばあるいは……」
「それで、室宮さんの連絡先は?」
「まあ、そう焦るな、あの時に室宮先輩は世界に絶望した入江先輩に鍵をかけた。
それは『キー・オブ・ザ・パーツ』を完成させる入江先輩を救う勇者が現れた時に再び、先輩の出番だと言った」
「『キー・オブ・ザ・パーツ』?」
「それはこの学校に『オーパーツ』として分散して具現化への試練にしたのだ。つまりは先ず『オーパーツ』を集めなければならない」
なにやら、入江の具現化への道は厳しいらしい。
「難しい顔をするな。だいたいの場所はわたしが知っている」
話によると『オーパーツ』は学園七不思議として話題になっているらしい。俺は決意表明を歩夢先生にすると『キー・オブ・ザ・パーツ』を完成させることにした。
それから……。
ショーホームルームの時間なので教室に戻ると。真奈がもっとネットにインしていた。
「今、入江さんとグループスペースで雑談中よ」
時計を見るとまだ若干の時間がある。俺もグループスペースに入るのだった。
「歩夢先生はなんて言っていた?」
「あぁ、これから、学園の七不思議ミッションをこなすらしい」
真奈の問いに答えるが確か、七不思議は三つしかないはずであった。
①ミッション、三階の止まった水道。
②ミッション、謎の第二男子更衣室
③ミッション、体育館奥の女子の花園
この三つである。
「なんだか大変そうだね」
気楽に言う真奈であるがこれからこの七不思議に挑戦するのである。
うん?
俺が小首を傾げていると。クラス委員長『千堂しずく』のアバターが近づいてくる。
「なんですの!このレアアバターの女子は!」
あいたたた、面倒くさいのが来たな。
「わたしは入江です、武蔵くんの『恋人』です」
はぁぁあぁぁ???なにを言い出すのだ、委員長に恋人宣言とは?
「むむむむ……」
唸りだす真奈はリアルの教室の中で。
『むぎゅーとだよ』
後ろから抱きついてくる。
「ま!もっとネット上で恋人がいるのにリアルでも嫁ですか!」
いかん、このままでは収取がつかない。とにかく、入江に恋人宣言を撤回させねば。
「ごめん……言いすぎたわ、武蔵くんとはまだ友達よ」
よし、次に教室で後ろから抱きついている真奈だ。
「真奈、落ち着け、もうすぐ先生がくる」
抱きついている真奈をなんとか振り放すのであった。
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