『ODD FUTURE』

『駆け上がれ。こちらで援護する』


「頼むぜ」


 階段。汚染されたビル。どこからどこへ繋がっているかも、わからない空間。


 階段。昇る。最初は、ゆっくりと。慣れてきたら、早足で。最後には、走って昇っていく。


 ドア。

 蹴破る。

 ひとりか、ふたり。

 確認した。煙。


 駆け寄ろうとして。通信。


『無視しろ。女性浴場だ』


「あ?」


 目の前のふたり。


「おう。邪魔したな」


「え。なに。仕事中?」


「ああ。わけのわからんビルと格闘中」


「そっか。ゆっくりしていかない?」


「いかない。仕事中だから」


「あら。残念。今日、夜の予定は?」


「仕事終わりに呑み会」


「私たちも行っていい?」


「今回は仕事入ってないだろ」


「酒呑むだけならいいじゃないのよ」


「どうせホテルまでセットなんだろ」


「そのための呑み会」


「家にいろよ。1次で帰るから」


 浴場を出た。


『どこだったんだ?』


「あれ。通信あっただろ。女性浴場だよ」


『いや。僕は通信してないけど』


「なんでだろ。まあいいや。家の女性浴場だった」


『はあ?』


「なんでだろ」


『お前、仕事中暇だからってえっちなこと考えてたんじゃないのか?』


「考えてない。いや、どうだろうな。わからん」


『お前らしいよ。今日は僕と呑み会だからな』


「1次で帰るって今約束しちゃった」


『おい』

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