第4話 エルエル4
「悪魔がどうした! こちらには女神様がいらっしゃるのだぞ! 悪魔なんか一瞬で退治してくださるわ!」
天使エルエルは佐藤女神が悪魔を退治してくださると思っている。
「え!? 私!?」
名前がキラキラネームなだけで、本当は女神ではない女神。
「まさか!? 女神様なのに悪魔の退治ができないんですか? そういえば、女神はアテーナーとかルナとかいう名前なのに、女神佐藤とか、ちょっと変わった名前ですね。」
女神に疑惑を抱くエルエル。
「分かった!? もしかして女神様は悪魔退治ができない堕女神なのでは!?」
「堕女神!? エルエルにまで言われた。アハッ!」
普段、堕と一緒にいて堕女神と言われいるので佐藤は言われ慣れている。佐藤は堕とワンセットの堕女神と言われることを嬉しく思っていので悪く言われても答えない。さすが女神。
「分からないの!? これは天使であるエルエル! あなたにチャンスを与えているのよ!」
「チャンス!? 私に!?」
「そうよ! ここで天使のあなたが悪魔を倒して経験値を積めば、将来は女神になれるわよ!」
「おお!? 私が女神になれる!? 転職してキャリアアップだ! アハッ!」
エルエルは自分が楽女神エルエルになった姿を夢見る。
「申し訳ありませんでした! 女神サトウ様! あなた様の深い考えが分からない私は愚かな天使でした!」
猛烈に反省する天使エルエル。
「いいのよ。謝らないで。私の優しさが分かってもらえればいいの。私はあなたを許します。」
聖母の様に優しくエルエルに微笑みかける女神。
「ありがとうございます! ああ~! なんと慈悲深い女神様なんだ! 私も女神様の様な女神になりたい!」
エルエルは佐藤女神を目標に掲げた。
「天使と女神と悪魔で順調に物語が進んで行くのが気に入らない。」
一人のけ者の堕は面白くなかった。
「さあ! 天使エルエルよ! 悪魔を倒すのよ!」
「はい! 女神様!」
こうして意気投合したエルエルと女神は一致団結して悪魔と対峙する。
「ふん! 天使に何ができるというのだ?」
「戦うのは私ではない! 戦うのは・・・・・・堕だ!」
エルエルは堕を指さす。
「はあ!? どうして僕が!?」
寝耳に水の堕。
「堕。おまえには私を天界から落っことしたという責任がある。その責任を取ってもらうためにも悪魔と戦ってもらう義務が、おまえにはある。」
「そんなこじつけな!?」
「黙らっしゃい! 問答無用!」
こうして堕は悪魔と戦うことになった。
「ええ~い! こうなったらどうにでもなれ!」
堕も悪魔と戦う覚悟を決めた。
「で、どうやって悪魔と戦うの?」
「私の天使の力を貸してやろう。」
「天使の力? なんか嫌な予感しかしないな。」
堕は展開の先行きに一抹の不安を感じ取った。
「さあ! 堕よ! 私の天使の力を思う存分に使うがいい! エルエル・エンジェル・パワー!」
「ウワアアアアアー!? なんだ!?」
堕に天使の輪っか、天使の羽、天使の剣が装備されていく。
「僕が天使になっちゃった!?」
「どうだ? 私の力は。さあ、思う存分に悪魔と戦い倒すがいい。ワッハッハー!」
「マジか!?」
まさかの展開に絶句する堕。
「でも、この天使の格好は恥ずかしいな。」
「安心しろ。普通の人間にはおまえの姿は見えない。」
これで人目も大丈夫。
「こうなったらやけくそだ! 悪魔め! 退治してくれる!」
堕が天使になった。これが本当の堕天使である。
「これでいいのかな?」
「女神の私が許す! アハッ!」
女神様がいれば何でも許されるのだ。
つづく。
堕と天使エルエル 渋谷かな @yahoogle
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