第2話 エルエル2
「いただきます!」
楽天使エルエルは朝ごはんを食べている。
「美味しい! こんなに人間食が美味しいなら、もっと早くに堕天使になればよかった。」
人間界に落ちた天使エルエルは人間食が気に入った。
「こらー!? エルエル!? なんでおまえがうちでご飯を食べているんだ!?」
僕の名前は佐藤堕(こぼつ)。
「やめなさい。堕。話を聞けばおまえがエルエルちゃんを天界から呼び寄せたっていうじゃないか。我が家にはエルエルちゃんの世話をする義務がある。」
「え!?」
「そうよ。だからエルちゃんは気にしないでたくさん食べてね。」
「はい。ありがとうございます。美味しい! お代わり!」
「こらー!? 居候は縁了しろ!?」
堕の両親は可愛いエルエルが気に入っていた。
「お兄ちゃんのバカ。」
「な!? 天使!? 兄に向かってなんという口の利き方だ!?」
そして妹の天使(エンジェル)に馬鹿にされる兄の僕。
「エルちゃん、私たち天使同士だもんね。」
「ね。人間界にもこんな可愛い天使がいたなんて。アハッ!」
エルエルと妹は天使とういう共通のネタで仲良くなった。
「僕の家族がエルエルに毒されている!?」
「毒されているのは、おまえだ。」
僕の居場所は自宅にはなかった。
「行ってきます!」
家から逃げ出す様に学校に出かけた。
「まったく僕の家族はどうなっているんだ!?」
僕は危ない独り言をブツブツ言いながら登校する。
「おはよう! 堕ちる!」
その時、僕の名前を呼ぶ少女がいた。
「僕の名前は堕(こぼつ)だ! 堕ちるって呼ぶな!」
「お約束じゃない。そんなに怒らないでよ。ワッハッハー!」
「笑うな! ちょっと自分の名前が神がかっているからって。」
「はい。私は女神ですから。」
現れたのは、お隣さんで幼馴染の同級生の佐藤女神。
「弟が堕ちるが女を自宅に連れ込んだって言っていたけど、嘘よね? 堕女神と他人に悪口を言われても、ダサい堕ちるの相手をしてあげる優しい女の子は女神である私ぐらいよね?」
「堕ちるって2回も言うな。」
実は女神は堕のことが昔から好きだった。
「本当だよ。」
「なんですって!?」
女神が雷に打たれる衝撃を受ける。
「エルエルっていうんだ。」
「エルエル? ホームステイの留学生ね。」
横文字の名前を聞いて女神は外国人留学生だと思った。
「違うよ。エルエルは天使だよ。」
「なんだ。天使か。・・・・・・て、天使!?」
何かがおかしいと気づいた女神。
「なんで天使が堕ちるの家にいるのよ!?」
「だから堕ちるって言うな。」
女神は堕の苦情は受け付けない。堕のことを自分だけが堕ちると呼ぶことに優越感を感じているからだ。例えると犬が電信柱におしっこをかけてマーキングしているのと同じである。
「エルエルはおっちょこちょいな奴で、天界から足を滑らせて、うちに堕ちてきてしまったんだ。」
これが本当の堕天使だ。
「なんて可哀そうなの。頭の弱い子なのね。うるうる。」
女神はエルエルの境遇に涙を流して同情する。
「違うわい! 私はおまえが天に幸せになりたいと願うから、天界から地上に引っ張られて堕天使になってしまったんだろうが!」
「あれ? そうだっけ? アハッ!」
本当のことを僕は笑って誤魔化す。
「それって悪いのは堕ちるじゃない。」
「だから堕ちるって言うな。」
気にしているのは僕だけだった。
「ということで、私は堕の家で居候しています。」
「可哀そうに。早く天界に帰りたいでしょう?」
「はい。そのためには堕に幸せになってもらわないと私は天界に帰れないのです。」
エルエルの境遇に同情する女神。
「おかしいわね? 堕ちるには私が側にいるから幸せのはずなんだけど?」
「だから堕ちるって言うな。」
「あの、本人は嫌がっていますが?」
堕は堕ちると変なあだ名で呼ばれることを嫌がっていた。
「いいのよ。私は何をやっても許されるのよ。」
「まさか!? あなたは悪い女!?」
「違うわよ! 私は女神よ!」
「女神!?」
佐藤の名前は女神であった。
「はあはあー! 女神様!」
エルエルは天使なので習慣的に女神にひれ伏す。
「こいつらに構っていられん。」
堕は一人で先に学校に行くことにした。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。