第66話 後ろの正面だあれ

「わ!」と恋人が目を塞ぐ。

「子供じゃないんだから、見えないだろ?」

振り向くと、誰もいない。

彼女は台所に立っていた。

「どうしたの?え!?なに、その顔怖い!」

青ざめた顔で、こちらを見ている。


鏡を見ると、小さな黒い手の跡が、うっすら瞼に残されていた。

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