第39話 赤ずきん

 ベッドの上でおばあちゃんが、狼に食べられている。

下に隠れて震えを抑えながら、見つかりませんようにと願う。

目の前を滴り落ちる血に、発狂しそうになりながら。

「匂いは隠せてないよ?」

狼がのぞき込んで、私を見つめて微笑んだ。

「嫁になるなら食わないぞ?」

絶望的な選択肢に声が出ない。喉から空気の擦れる音だけがしていた。

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