第34話 バースデー

ベッドに横たわる私の顔を、誰かがのぞきこんでいる。

「おや、ようやく目がさめたのかい?」

黒い何かが問いかける。

「お嬢さん、夏に来てから一向に目を覚まさなかったんだよ」


そうか。夏のあの日、海で溺れてお母さんとお父さんが叫んでたっけ。

「私、あちらでは今日死んだのね」

「ああ、こちらでは今日がバースデーだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る