第15話 椿

いつもの通り道、ふと視線を感じた。

振り返っても誰もいない。

何だ、この背中をチリチリと焼くような感覚は。慎重に辺りを見回す。


あった。

正確には目が合った、一際大輪の八重椿。花弁の中心、澄んだ大きな瞳が、熱を帯びた視線で俺を正確に射抜いていた。


花との恋は、成立するのだろうか。

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