第8話 マンホール

下水管の俺の上に、「おすい」と描かれた極めて地味なマンホールが鎮座している。聞けば、ご当地マンホールとか、キャラマンホールとか、映えるやつが一杯いるらしいじゃないか。


下水道は思う、何でこんな地味で邪魔なやつがよりによって俺の頭上にあるのだ。


マンホールが申し訳なさそうにいう。「もうすぐ台風くるから、ごめんね、そしたら多分変わりが来るよ。」


台風、増水、外れるマンホール、そこに嵌って流される人々。人々の断末魔なぞどうでもいい。おい、あの地味なマンホール、どこに行った?

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