誰が悪いんだ?
しかし、ここで問題が。
「あのサークルに『一緒に入ろう』って俺を誘ってきたの、蜜音……じゃなかった笹島なんだけどさ。吉崎さんも笹島に誘われた?」
「!」
「あと……ひょっとしたら、笹島ってあのサークルがヤリサーだって知ってて俺たちを誘ってきたんかな?」
「あ、ああ、あ、あの、そ、それは」
おおっと、吉崎さんが小さい秋を見つけたような動揺を見せている。小さい秋どころかでっかいアナーキーサークルなんだけどな、現実には。
なんだか最近の俺の周りを見る限りでは、乱痴気騒ぎってもんが市民権を得たような錯覚すら覚えるぞ。
性の乱れは社会の乱れ。そのうち覚せい剤使用しても咎められなくなったりして。
性、YES。101回目のセクロスどころかビューティフル乱痴気ライフじゃねえか。主役はキメセクか、それともキ○タクか。
モラルが崩壊するその時はすぐに迫っているのかもしれんな。
ま、吉崎さんからしてみれば、笹島がそんなこと大好きっ娘なんて信じたくもないだろ。実際吉崎さんと笹島って学科でも仲良かったし。
近づいただけで梅毒が伝染るほどの、まごうことなきビッチが笹島の正体デース!
ウゾダドンドコドーン!
嘘じゃないよー! だからみんなで乱痴気しようと同じ科のやつらをサークルに招待したんデース!
よし×ささの百合展開を期待していた俺の立場は!?
ソンナモノ押し花にしたって見せ物にすらナリマセーン!
…………
ああしょーもない。たしかに吉崎さん、押しに弱そうだしな。だからこそ笹島の誘い断れなかったんだろ。
初対面の時もいきなり駅前でナンパされて拉致られそうになったとこを俺が助けた、なんていう感じでね。あの直後に同じ科で再会したときは、マジで運命信じそうになった単純な俺であった。
うむ、つまり俺も吉崎さんも被害者だ。Q.E.D。つまらん。
まあ不幸中の幸いは、俺と吉崎さんがヤリサーの毒牙にも性病にもかからなくて済んだ、ってことだけ。
性病は怖いぞ。梅毒や怪しいウィルスとかはいうまでもないが、たとえクラミジアでも医師と世間から辱しめを受けるはめになるからな。
そんなことになったら伝染しやがった奴らに対し、『クラミジアの恨みじゃー!』程度の拷問おしりペンペンくらいでは気がすまん。コーモンおしりパンパンくらいは最低でもやらんとな。性病悪化しそうな危惧はあるにせよ。
「……ま、吉崎さんも、笹島に強引にサークル入るよう誘われたんだよね? よかったね、ひどい目に遭わなくて」
「え、あ、あ、そ、そう、だね」
「……」
「……」
何この沈黙。
「吉崎さん」
「え、あ、は、はい、なにかな」
「ひょっとして……」
ここで新たなる疑惑が、再度俺の脳裏に浮かんだ。
確認してみよう。
「笹島のこと……」
「え、ち、ちがう、ちがうの、そうじゃない、そうじゃないから。た、たぶんだけど、光音はきっと……」
「やっぱりそうか。吉崎さんは、笹島が誰かほかのサークルメンバーに脅されてるかなにかで、仕方なしに乱痴気騒ぎに参加させられてると考えてるんだね?」
「……………………へっ?」
「違った?」
「あ、い、いや、その、ええと、違わない、違わない!」
「やっぱり」
試しに確認してみたら、美々や相原んこーさんの検査薬みたいに陽性判定でしたとさ。さすがは推定天使の心を持つ吉崎さん。呆けてる気がするのはたぶん俺の気のせいだ。
そんな吉崎さんと仲がいいわけだから、きっと蜜音、いや笹島も決して悪い人間じゃないはず。実際、最初から俺に気安く話しかけてきてくれたおかげで俺も同じクラスのやつらと打ち解けられたし、吉崎さんとも仲良くなれたし。
…………
あ、そういやあともう一人いたわ、同じ科のやつが。えーとたしか、性子……じゃなかった、聖子。
もういいや性子で。性子どころか性交でもいいよ、見た目にそぐわぬビッチぶりを披露してくれやがってさ。
俺のビッチセンサー判別で、普段の顔より快楽をむさぼってた時の顔のほうが素に思えるって相当だぞ。
もしかしたら、笹島、こいつになにか弱味握られてたりしてな。
あああ、もう! とダスカ風味に嘆く俺。
めんどくさいから、笹島本人に突撃するか。
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