最後だから! 最後だから!
※ この作品はコメディーです
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なんで義母さんから有罪判決をうけるのか、マジでわからんわ。
だいいち美々なんか有罪半ケツどころか有罪全ケツ、いや有罪全ラーだぞ。田村○里子もかなわないレベルで。
…………
うん、こんどから裸族のことを『全ラー』って言おうかな。マヨラーとかそんな感じに少しだけマイルド化、というか乳化されそう。
ちなみに乳化と言っても象乳化ではない。全ラーが象乳化。ヒワイだ。
……まあ、どうでもいい脳内提言は置いといて。
「誰が実地で体験したいと思うんだ、性欲たぎるハエが群がるほど不衛生な公衆便所を。赤の他人であれば無関係に過ごすことで忌避できるだろが、自分の妹だと思うとエチケット袋がダースで必要なくらい気持ち悪いわ」
「……」
溜まった鬱憤は、性欲と同様に解消しないとね! 指さしならぬ抜き差し確認、罵倒、ヨシ!
「おまえとヤレるのは、嫌悪感を上回るほどの性欲がたまって爆発寸前の男か、『本気で好きな相手なら過去なんか気にしない!』という考えの、器が大きいかどこかネジが飛んでるか判断に困る男だけだ」
「ごめん……なさい」
「なんに対して謝罪してるんだ?」
「義父さん母さんと……卓也に迷惑かけたこと」
「そこはせめて『学校内で乱痴気騒ぎをしたこと』って言えやぁぁ!! 本当にわかってねえな!!」
だめだこりゃ。常識を一から教え直しても、この年齢じゃ意味がないかもしれない。
しかし、美々がここまで常識がないビッチに育った理由は、いったい何なんだろうか。義母さんは先ほどの謎有罪判決があるけど、美々をバッタバッタなぎ倒して説教していた様子からして、これはとんでもないことと理解してるようではあるが。
「だいいち、なんで校内で乱痴気騒ぎパーティーをしようなんて思い立ったんだ?」
疑問は一つずつ解決。その原則にのっとって、俺は美々にそう尋ねた。
「そ、それは……あたしがもう、こういうのやめるって、聡美に伝えたら……聡美も『わたしもそろそろ足を洗おうと思ってたから、最後に祭りをして全部終わらせよう』って言ってきて……」
「……」
「体育の授業で自由参加の水泳のときに、集まれる二組分のメンバーを集めて、でもいきなり決まったから準備とかできなくて、生で……」
「生でやることに抵抗はなかったのかよ?」
「だって、アフターピルは聡美が準備してくれてたし……あたしもそっちの方がいいし……」
「そうなん? 相原さん?」
「……はい」
「あの。『相原さん』というと私も入ってしまうので……聡美のこと、せめて名前で呼んでくださいませんか? 個人的に一緒くたにされるのだけは超絶胸糞悪いんですが」
「ああ、大丈夫です。お母さんのほうはファンキーさんですから、すでに」
ファンキーさんがそう言ってきたが、俺は軽くいなす。
というかファンキーさん、サラッと毒吐いたな。なんだろう、実の母娘ならいくら娘がバカなことをやろうと少しくらいかばってあげてもいいと思うんだけど。さっきの義母さんみたいに。
ひょっとしてこの母娘、仲が悪いのかもしれない。そのあたりが相原さんのビッチ化につながっていたりしてね。
……ふむ。
思うところがあり、そこで俺は質問先を相原さんに変えた。
「では、次は相原さんに質問です。今……」
「……わたしには、一問目です」
「どんな気持ち? ねえねえ、今どんな気持ち?」
「……」
相原さんの思惑を裏切ることに成功。だれがこの先の展開を予想させるかっての。
明確な回答がないので、相原さんが座っている椅子をぐるぐると三度ほど回した。
まあこれはただのおちゃめなので重要じゃない。次の質問に進む。
「相原さんさ、アフターピルまで準備してたっていうことは、このパーティーメンバーのリーダーって、相原さんなの?」
「……」
言うべきか言わざるべきか、光速の思考の中で考えを巡らせているように思える態度だ。言いづらくて言いよどんでるようには見えんわ。
「黙秘は認めません。首謀者はあなたですか、相原さん?」
「…………はい」
有罪の札が当然のように三つ。
「いろいろ聞きたいことが多すぎてどれから聞いたらいいかわかんないですが……まず今回のことについて訊きたいと思います。なぜ、今回のような乱痴気パーティーを校内で、しかも授業中に開催したんですか?」
「……わ、わたしも、最後に、したくて……バレにくい時間があったから、どうせなら大々的に、と……」
ここも有罪札で満場一致。
こんなことは最後にしたかったのか、最後にこんなことをしたかったのか、判断が難しい掛詞がキタコレ。でもたぶん両方の意味だな。
「じゃあなんで、相原さんはこういうことをもう終わりにしようと思ったの?」
「……」
なぜかはわからないが、そこで相原さんが顔を真っ赤にして縮こまる。
違和感しかない。だってあんな大勢の男子の前でもひるまずにゼンラーで、乱痴気騒ぎに参加してた逸材だよ? それ以上にしゅうチソko、じゃなかった、羞恥にまみれるような事柄って何よ?
「黙秘は認めません、と言ったはずですが?」
弱気な相手には強気が鉄則。俺があえて強く言うと。
「あ、あの……も、もうさすがに、後ろでするのに限界があって……何もしなくても漏れ出しそうな感じになったから、このままオムツ生活になるくらいなら、ここですっぱり足を洗おうと……」
おずおずと語られる理由にみんな絶句した。
なんなのこの展開。おいオヤジ、そこでディレイかけて無罪のしゃもじ掲げんな。同情してる場合じゃねえぞ。同情するなら締まりをくれ、だからな。後ろの穴あき子。
予想外といったらいいのか
ミが漏れ出すフタすらできないって、ミもフタもないわー。
「ぎゃははは! 前より後ろの方がガバガバユルユルって救いようないじゃん! 垂れ流し垂れ流し!」
「うるさいわねクソ女! その代わり前は美々みたいに使い込んでないから、カズノコですらビビッて逃げ出すほどのキツキツの超名器よ!!」
「クソ女って、聡美がクソ女じゃーん! いやクソ駄々漏れ女? ニワトリみたいにタマゴ産めるんじゃなーい? いや出産も後ろからか、ぎゃははは! 便秘知らずでうらやましー、どんだけ好きじゃない相手に酷使してたのよ、あははははは!!」
「好きな男に一切相手してもらえない美々のほうがよっぽどみじめでしょ!! わたしは恭一郎と相思相愛なんだから!!」
……ん?
みにくいビッチな子、どうがんばっても白鳥に生まれ変われる要素すらないビチキュア同士のどっちもどっちな言い争いの中で、ふと出てきた単語にハッとする。
恭一郎、って、相原さんの好きな人の名前か?
…………
俺が知る限り、校内で『恭一郎』と名前の付く人物は、ひとりしかいない。
生徒会長である、
「相原さん、ひょっとしてカイチョサンと付き合ってるの?」
「……………………あっ」
締まった。いや締まってない、という感じで口を開け呆ける相原さんを見て悟ったわ。ケツの穴同様に口もガバガバユルユルだな。隠しておきたかったんか?
これは何かあると思い、俺はさっそく、その場で坂本先生にメッセージを送る。
『先生、生徒会長を今すぐ拉致してください。今回の校内乱痴気パーティーの件について聞きたいことがありますので』
『……ふぅ。了解』
既読がついてから、少しだけ間が空いたのちの返信。
先生、いま何をオカズにして何やってました? とツッコむのはやめておこう。これ以上ツッコミ先を増やしたら、俺はビチキュアレベルのヤリチソになってしまう。
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