料理番組
「本日のメニューはハンバーグです。まずは——」
あぁ、俺はなんでこんなところでハンバーグの作り方なんて教えてるんだろ。
俺は俳優だぞ。演技が売りだぞ?
いや、ありがたいよ。趣味が高じて料理の番組を持たせてもらえたのはとてもありがたい。
だが、今更ハンバーグの作り方か!?
今、令和だぞ!
ネットの時代だぞ!?
いや、ネットの時代って言い方も昭和臭い気がするけど、でも調べれば出てくるだろー。
テレビでやることかよ。
おいしいハンバーグの作り方って。
ググレカス案件だよ。
きっとどっかのSNSで『今更ハンバーグ』とかつぶやかれてるって。草生やされるって。
つうか玉ねぎ炒めるのだけでも十分以上かかるのに、三分で作れってどういうことだよ。
「ここで炒め終わった玉ねぎがこちらです」
用意しておくんだもんなぁ、こうやって。
ねえこれ俺いらなくない?
なんかもうアシスタントの女の子が苦笑い浮かべてるようにしか見えないよ。
超かわいいけどさ。
タネにするのもさぁ。混ぜるだけだよ。で、空気抜くけどさぁ。
「ここで丸めたものがこちらです」
一から調理しないならやる必要あるかねぇ?
俺もう料理作ってる気がしないよ。
「そしてこれが作り終わったハンバーグです」
嘘でーす。レトルトでーす。
とか書かれてそうだな。違うぞ。本当に作ったんだぞ。
合計で三十分ほどかかってるからな。え、遅い?
馬鹿め!
ソース作って洗い物まで含めてだ!
料理はな。作り終わったらフィニッシュじゃねぇんだよ。洗い物まで含めて完了なんだよ!
ちなみに食べた後の皿は含めません! さすがに!
「本日のハンバーグのレシピがこちらです」
そう言って女の子がボードを出してくれる。ポイントの……説明っている?
「本当に作れるのかなって思った方は、ネットで動画でも見てください。それでは」
あ、セリフ間違えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます