プロポーズ。(NL)

「あ、そういえばさ」


見ていたバラエティーがCMに入ったところで口に出ていた。


「ん?」


ソファーで横になっていた彼が反応を示すと重みでぎしりと揺れる。


「俺と同じ苗字にしてくださいってプロポーズはなしだから」

「は?」


急にどうしたというような声が背後から聞こえたが続ける。


「苗字一緒にするイコール結婚じゃないし」

「あぁ…そうだね」


明らかな狼狽えが聞こえた。大体ここからどんな言葉が来るのかは目に見えている。


「あのさ、もしかしてなんだけど」

「うん…そういう感じでプロポーズしようとしてた」

「よかったね先に言っといて」

「うん」


同棲という期間はまだもう少し、続きそうだ。



(暗転)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る