さんかく。(BL)

「いい加減にしてもらえますか?」


そう言うと三橋は木崎の前に立ちはだかった。


「何が?」

牽制するように睨みつける三橋とは対照的に矢島はへらりと笑う。そして状況が飲み込めない木崎はただ2人をぼんやりと眺めていた。


「一応俺の恋人なんであちこち連れまわさないでくれませんかってことなんですけど」

「別にいいでしょ、兄弟なんだし」

「ほぼ他人でしょうが」

「腹違いでも兄弟は兄弟じゃない」

「一緒に暮らしてたら!ね!」

「どうしたんだよそんな怒って」

「みなとは黙ってて!」

「えぇ…」


何故こんなに怒っているのかが分からない木崎はおたおたすることしかできず、とりあえず三橋の後ろからひょっこりと矢島を見る。そんな弟の姿に年甲斐もなくキュンキュンしてしまった矢島はちょいちょいと木崎に手招きをして見せた。それが盾となる三橋の堪忍袋の緒を切ることになるとも知らずに…。



(暗転)

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