このあとは大体立ち絵になるやつ。(NL)

「…エロければいいわけじゃないんだよ」


パソコンの明かりだけがほのかに光るくらい部屋で、大きくため息を吐いて企画書のコピーをデスクに叩きつける。

俺が勤務しているのはエロゲを作る会社。一応部長ではあるものの部長なんて名ばかりで雑用や大量の拙く雑な企画書の確認や整理ばかり。当初から憧れていたストーリーが重厚で感動できるエロゲなんて作ることなんてままならない。新人時代に一度だけそんな感じの企画書を提出したが、当時の上司には「エロゲなのに感動してどうする」と企画書を目の前で破かれたほどだ。そこからはただエロいだけのゲームの企画書しか作っていない。まぁそれでも手抜きをしているわけではないし、そこそこいいものを作ってきたと思う。しかし…。


「明らかにマンネリ化というか…企画出しに飽きてるよなぁ」


感情のままに叩きつけてしまった企画書のしわを直してデスクに置くとどっと体に疲れが来て椅子の背にもたれる。ぎしりという音がやけに大きく聞こえるのはきっとこの場に俺一人しかいないからだろう。


「どうしたもんかなぁ…」


体の動くままにデスクに突っ伏す。頭の中はとにかくぐちゃぐちゃだ。そろそろ企画が決まらないと非常にまずい。ただでさえ最近業績が伸び悩んでいるのに、前の新作なんてもう一年前だ。


「あぁぁぁー」


企画書を全て確認があまりハネそうなものがない。どこかの二番煎じのようなものしかなくてげんなりする。

とりあえず今日はもう帰ろうか。急がないと終電が来てしまう。

時計を確認してから、俺はすっかりガタがき始めた体を椅子から持ち上げようとする…その瞬間のことだった。


「うぉ!?」


シャットダウンを拒むように目の前のパソコンが急に光りだす。死を覚悟するほどの光量に目を瞑ると今度は突然体を形容できないほどの重みが襲った。混乱なんてものじゃない。こんなガタの来かたを俺は知らない。え、死ぬの俺?


「ご主人様!」


精神が逝きかけた俺の耳に飛び込んできたのはまるでエロゲで聞くような可愛らしい女の子の声だった。

ん?女の子!?

いつの間にか通常通りに戻っていた光の刺激に恐る恐る瞼を上げる。

するとそこには…


「これからよろしくお願いします!」


フリフリのクラシカルメイドに身を包んだピンクの髪の少女が程よくついた胸を押し付けて俺の上に馬乗りしていた。


「うぇぇぇぇぇ!?」



(暗転)

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