えび天。(NL)
「えび天ってなんでえび天っていうか知ってますか?」
「え?」
休日の昼下がり、突然電話が鳴ったと思ったら開口一番こんなことを言われた。しかも相手はクラスのマドンナの美香子さん。僕の頭は混乱の渦に落とされる。
「えっと…えび天ぷらだからじゃないんですか?」
そもそもなんで美香子さんがぼくのケータイの電話番号を知っているんだろう。生憎だが僕の友達にはマドンナと知り合いでなおかつ連絡先を知っているような奴はいない。ってかなんでえび天なんだ?
「そうですか…私はえびが天国へ召されたからえび天っていうのかと」
「うーん…分からなくはないけど」
「ありがとう、また連絡しますね」
「あっちょっと」
色々聞く前に呆気なく電話は切れてしまった。それにしても彼女に何があったんだろう。今どきそれくらいのことは検索すれば出てくるだろうに…。
「まぁ…いっか」
ケータイの履歴には美香子さんの電話番号が残っている。中学生の僕にとってはそれだけで十分な気がした。
(暗転)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます