れんあい。(NL)

頭が痛い。脳みそが膨張している感覚と共に視界が僅かに揺らいでいる気がする。


「あーそうだ…約束」


ブルーライトの光を受け付けまいとする痛みに何とか耐えてスマホのロック画面を確認した時、一週間ほど前の約束を思い出した。確か今日は一緒に買い物に行く予定だったのに。急いで彼女に連絡を入れる。


ーごめん…今日のデート行けなくなった


彼女とのトーク画面にそう送るとすぐに返信が返ってくる。献身的な彼女を持ったものだ。


ーもしかして体調悪くなっちゃった?


流石、俺の彼女はこういう時の察しもいい。


ーうん

ーそっか、ゆっくり休んで


可愛い顔文字と共に俺を心配する文面が送られてくる。こんなに可愛い彼女とのデートが出来ないなんて辛すぎると泣きそうになりながらも「ありがとう」と送ろうとしたその時だった。


ーまた元気になったら、今日予定していた時間よりもいっぱいデートしようね!


声にならない声で俺は呻いた。なんて素敵な彼女なんだろう。嗚呼、俺には勿体ないくらいだ。この娘の為にも、早く頭痛を治して沢山デートしてあげよう!



そう俺は決意して、3DSの電源を落とした。



(暗転)

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