書けない!

「何も書けない」


そう呟いて相棒であるノートパソコンを閉じる。そのまま机に突っ伏すと目の前で本を読んでいる先輩に声をかけられた。


「どうした?」

「んーなんか上手く書けなくて」

「お、いつも創作のことしか考えてないお前が珍しいな」

「そうですね…」


確かに授業中ですらパソコンを開きたくてそわそわしているのに今日は開いたところで一文字も打ち込めていない。


「インプットが尽きたんじゃねぇの?」

「インプット…?」

「え、知らないのか?」


聞き慣れない単語に聞き返すとまるで未確認生物を見たかのような顔をされた。


「むしろなんで知らないのに今の今まで異常なまでに書けてたんだよ…」

「え…そんなにおかしいんですか知らないの…」

「俺がこうやって毎日本読んでるのもインプットのためだからな?」

「そ…そうなんですか!?」


ただただ本を読むのが好きだと思っていたところにまさかの事実に驚くと「お前にその顔されたくない」と怒られてしまった。そうか。それほどまでにインプットという行為は大切なのか。


「先輩…俺インプットします!なので教えて下さい!」

「お…おう…」


勢いよく机をバンと叩いて立ち上がる。早くこのスランプ状態を抜け出したい。俺の心にはただそれだけが強く残っていた。


「ところで…インプットってなんなんですか?」

「そうだろうと思ったよ」



(暗転)

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