第4話 夜と呼べない愛を越えたい

 夜を越えると朝になる。じゃあ愛は?愛は憎しみに変わるとよくゆうけれど、じゃあ全部が愛でいいじゃない。


 度が越えた愛は理解されないことが多い。到底愛とは呼べないような。痛みや苦しみが愛だという人もいれば、無視されても拒否されてもなお自分が愛されていると信じてやまない人もいる。愛のカタチは人それぞれ。


 夜には愛がある。昼にだってあるけれど、夜の愛はまた違う。むき出しになる。本性が出る。なぜなら暗いから、隠れるから。夜の闇に紛れて本当の自分になれるから。


 夜なんてのは仮の名前。本当は朝や昼じゃないこと、太陽が沈んでしまった時のことをさす。照らすものが何もないということをさす。愛情すら感じるあの温かみのある、太陽の光がないのよ。これはもはや全世界の生き物が感じる愛がひとつ、ぽっかりとなくなってしまったということよ。


 太陽のないその時間、生き物は愛を求めてさまよう。そうしていろんな愛が生まれ、かたちも様々になっていく。普通の愛じゃ満足できない人たちもいる。夜遊びとか夜しかない言葉もある。昼遊びなんて言わないでしょ。ずっと真夜中でいいのになんて、夜の魅力は数知れない。夜は流れず、星も消えない。そんな夜の中にとどまる愛があっていい。


 そんな時間はもはや夜なんかじゃなく

 いわゆるひとつの愛だ

 夜とは呼べない愛だ

 愛と呼んでもいいんじゃないか

 幸せでも不幸せでも

 憎しみでも痛みでも

 苦しくても失っても

 愛でなくとも

 愛してる

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愛と呼べない夜を越えたい 新吉 @bottiti

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