【2】

 今日の体育で行ったリレーで、僕たちのチームは一等賞だった。それが余韻として残る帰り道。肩からずり落ちないように両手で掴むランドセル。スキップなんか、してみちゃったりして。


 そんな中で僕は、ある違和感を感じると、手の力を強くした。上がっていたテンションが、ぴたりと落ち着く。足の動きを止め、影追いをしているみたいに俯いた。



 先週と確かに変わらない違和感。飲み込んだこぶし大の石も、にじみ出てくる冷や汗も、僕の聴覚を飲み込む心臓、それから呼吸の音も。すべてが一度、体験したもの。


 大丈夫、後ろには何もいない。そうと分かっていても尚、震える手足は焦りを示している。突如現れた視線は、僕の背中を舐めまわした。生唾を飲み込み、なんとか一拍の間をとると、恐々と振り向いた。



 そして、重い溜息を吐き出す。視線の正体は、ただのウサギだった。ウサギといえば、他学年がお世話しているウサギが何匹か、学校にいたっけな。そんなどうでも良いことを思い出すと、その子を気にも留めることなく、のんきに帰り道を歩き出した。

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