神の芸術とは

 中也が芸術というものをどのように認識していたかを、これまで縷々るる述べてきた。もう一度繰り返すと、万象の上に無機的要素、神秘を見て、それによって『神』を直し、その認識の感興のむに已まれぬ表現がいわゆる芸術であるということだ。そして、『神』芸術そのものであるということである。

 『神』の世界は至高芸術界、そして『神』が創造されたこの地上も、人間も、『神』の最高芸術品なのである。ではなぜ最高芸術品の人間が創造されたのか、何の目的があっていかされているのか、『神』が芸術そのものなら人の世での芸術はいかなる役割があるのか、そして、中原中也は何をしてきたのか。

 それらを語って、この論考を締めたいと思う。

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